2013 Fiscal Year Annual Research Report
一重項分裂を示す有機半導体材料群の創出と有機太陽電池への応用
Project/Area Number |
24685029
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
夫 勇進 山形大学, 理工学研究科, 准教授 (00350489)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 有機半導体 / 一重項分裂 / 太陽電池 |
Research Abstract |
有機半導体において、一重項励起子から二つの三重項励起子を生成する「一重項分裂」という現象が知られている。本研究では、高い一重項分裂効率を示す材料群の創出と有機薄膜太陽電池での200%に迫る光電変換効率を目指す。構造を明確に規定できる中・低分子材料を中心に開発を進め、蒸着および塗布型有機薄膜太陽電池に適用する。共鳴構造の寄与により、小さい基底一重項/三重項エネルギー差が期待できる、ビラジカル性化合物を量子化学計算により予測し新材料を設計する。低い励起三重項準位が期待でき、励起一重項分裂性化合物候補となり得るアリールエテン構造を中心に材料開発を進めてきた。溶解性を付与する置換基と吸収の長波長化のための電子吸引性置換基を導入した9,9-ビフルオレニリデンを主骨格とする新しいπ共役高分子材料を開発した。p-型材料として、バルクへテロ型有機薄膜太陽電池特性を示し、同骨格の有用性を示した。一方で、9,9-ビフルオレニリデンを主骨格とする2種類の低分子材料の合成を完了した。蒸着による素子作製が可能であり、一重項分裂特性が知られているペンタセンとの比較を進めていく。一重項分裂特性の解析を目的として、0.5Tまでの磁場可変、紫外可視での照射光波長可変、また照射光強度可変な磁場中での光電変換特性の測定システムを構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一重項分裂特性の発現を目的とした高分子材料を1種類、低分子材料を4種類、合成完了している。本研究の重要な部分である、一重項分裂特性の解析を目指した、0.5Tまでの磁場可変、紫外可視での照射光波長可変、また照射光強度可変な磁場中での光電変換特性の測定システムを構築を終えており、今後の解析が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
構築を終えた可変磁場中での光電変換特性の測定システムによる、明確な一重項分裂特性の解析に重点をおいて、新しく開発済みの材料とペンタセンなどの既存材料との有機薄膜太陽電池特性での比較検討を行う。また、引き続き一重項分裂特性に必要な、励起一重項、三重項準位を有する材料開発を進める一方で、電荷の輸送特性と両立できる材料設計を探索する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
磁場中での光電変換効率の測定システムの構築が平成25年度の後半にずれ込んだため、データ収集・解析システムに予定していた予算を消化できなかったため。 平成25年度の後半に構築した磁場中での光電変換効率の測定システムでの、データ収集・解析システムの増強を予定している。
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Research Products
(1 results)