2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24685030
|
Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
尾坂 格 独立行政法人理化学研究所, 創発物性科学研究センター, 上級研究員 (80549791)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 高分子合成 / 高分子機能・物性 / 有機トランジスタ / 有機薄膜太陽電池 |
Research Abstract |
近年の有機半導体材料の進歩により有機エレクトロニクスの発展は目覚ましく、実用化に向けた気運が急激に高まっている。一方で、高性能な半導体ポリマーを創出する上で、分子設計上、真に重要なポイントが何であるか解明することは避けては通れない道であり、今一度、学術的見地からそれを考える必要がある。本研究では、キャリア輸送効率化と有機半導体デバイスの高性能化に向けた半導体ポリマーの配向制御を目指し、分子科学的アプローチから新規半導体ポリマーの創出と、それに向けた分子設計指針確立を目的とする。種々の分子骨格を基盤としたポリマーを検討する中で、今年度、主に①チアゾロチアゾール系ポリマー、および②チエノチオフェンジオン骨格を有する半導体ポリマーについて検討した。 ①チアゾロチアゾール系ポリマーでは、側鎖のアルキル基の組み合わせにより、エッジオン配向あるいはフェイスオン配向をとる。しかし、X線回折により詳細に解析したところ、フェイスオン配向ポリマーにおいても、基板界面近傍ではエッジオン配向を形成することが分かった。 ②チエノチオフェンジオン骨格はこれまでポリマーには導入されたことがなく、今回合成したポリマーは新規である。チエノチオフェンジオンは電子親和力が強いため、ポリマーのLUMOレベルは–3.8 eVと非常に低く、両極性トランジスタ特性を与えることが分かった。また、このポリマーはπ電子系の非局在化が従来のポリマーに比べて極めて大きく、この主鎖方向に大きく広がった電子状態がトランジスタ特性に影響を与えることが示唆された。すなわち、主鎖方向のキャリア移動が、薄膜中でのキャリア輸送性に重要であることが分かった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
薄膜の深さ方向において、ポリマー配向に勾配があることは予想しておらず、非常に大きな発見である。また、それが素子特性と大きく相関することは、非常に重要な知見である。一方、チエノチオフェンジオンは、当初の計画には挙げていなかった骨格であり、これらは、当初の研究計画が順調に進捗したが故に得られた結果である。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究の進捗状況は非常に良好であり、今後も当初の研究計画に沿って推進する。
|
Research Products
(29 results)