2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24685031
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
伊田 進太郎 九州大学, 工学研究院, 准教授 (70404324)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 二次元ナノ結晶 / 希土類 / 蛍光体 / ナノシート / ユーロピウム / テルビウム |
Research Abstract |
ナノシートとは二次元平面の単結晶子であり、その厚さは約1ナノメートルである。ナノシートの厚さは単分子レベルであるため、量子閉じ込め効果に代表されるバルクには見られない様々な物性を示す。本研究では光機能性ナノシートの発光素子などへの新規応用を目指して、新しい発光ナノシートの開発やナノシートの電子物性の測定を目的としている。課題としては、発光ナノシートのライブラリが少ないこと、ナノシートのキャリアタイプ、キャリア濃度、キャリア移動度などの電子物性がほとんど明らかになっていないことなどがある。本年度は、新しい発光ナノシートとして、酸窒化物系の蛍光ナノシートを、電子物性を測定するためのナノシートとして四方の大きさが数十マイクロメートル程度ある蛍光ナノシートの作製を目指した。酸窒化物系の蛍光ナノシートとしては、テルビウムがドープされたカルシウムニオブ酸窒化物ナノシートを合成した。このナノシートは赤橙色をしており、紫外線を照射すると黄緑色に見える。このような蛍光体は偽造防止や暗号用のインクとして期待されており、今後このような応用に展開できるか研究を進めていく予定である。四方の大きさが数十マイクロメートル程度あるナノシートとしては、カルシウムニオブ酸化物ナノシート、青色に発光するビスマス・ストロンチウム・タンタル酸化物ナノシートや赤色に蛍光を示すユーロピウムがドープされたカルシウムタンタル酸化物ナノシートを作製した。作製したナノシート1枚とナノシート2枚の伝導性を評価したところ、1枚と2枚では数桁も表面伝導性が異なる可能性がある結果が得られた。また、このナノシートのバンドギャップ以上の光を照射すると抵抗値が1~2桁減少することがわかった。来年度は、これらのナノシートに4端子電極を作製してキャリアタイプ、キャリア濃度、キャリア移動度などの電子物性を明らかにする予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
24年度の目標であった酸窒化物系の蛍光ナノシートの作製と四方の大きさが数十マイクロメートルの酸化物ナノシートの合成に成功しているため、本研究はおおむね順調に進展していると判断する。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は24年度に作製したナノシートを用いて、発光ナノシートのキャリアタイプ、キャリア濃度、キャリア移動度などの電子物性を明らかにするとともに、それを用いた発光素子の開発を目指す。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該助成金は25年度に購入予定のホール効果測定装置の購入に使用する予定である。
|
Research Products
(2 results)