2012 Fiscal Year Annual Research Report
電圧印加時の電子分光による強磁性半導体のキャリア誘起磁性に関する研究
Project/Area Number |
24686007
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡林 潤 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (70361508)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 電子分光 / 結晶成長 / 磁性体 |
Research Abstract |
スピントロニクス材料を用いた新規物性として、電圧印加による物性制御が注目されている。スピン依存伝導特性の評価から議論が行われているが、電子状態の観点から捉える必要がある。異種元素の化学ドーピングよりも多量のキャリアを電圧印加により注入し、動作中の電子分光により、議論が進むものと考える。そこで、申請者が手がけてきた「試料作製」,「電子分光測定」,「伝導測定」を組み合わせて初めて可能となる、電圧印加時、すなわち動作時の電子分光法を新しく構築することを進めてきた。この技術を用いて、界面キャリア注入時の電子状態(フェルミ面の軌道対称性)を調べ、誘起する強磁性の発現メカニズムを明らかにすることを目的として研究を進めている。 本目的を達成するには、磁性元素別の電子・磁気状態の観測が必要となる。そのためには、放射光をもちいた電子分光が有力となる。申請者が進めてきたX線吸収分光(XAS)、X線磁気円二色性(XMCD)の実験手法を活用して、測定パラメータとして外場を追加した新規分光法を開発している。本年度は、XMCD装置を立ち上げ、試料に電圧を印加できるシステムの開発を集中的に行った。 特に、強磁性体・半導体界面での軌道磁気モーメントの精密測定を可能にする技術を確立し、入射光と試料垂直面の角度に依存した異方的な軌道磁気モーメントが垂直磁気異方性の起源であることを調べた。そして、界面の電子状態の特異性が軌道磁気モーメントの異方性をもたらすことを突き止めた。 。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
放射光を用いた電子・磁気分光のシステムの開発を行い、それが完成したところである。また、測定試料に電圧を印加できるシステムを開発した点が今年度の達成度であり、本目的の達成に向けて着々と進んでいる。この装置を用いたXMCD測定が可能となり、準備が整った段階である。今後、実際の試料での動作時の電子・磁気分光を推進していくことで目的が達成される。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度立ち上げた電圧印加時の磁気分光を可能にする装置を用いて、実際の物質での測定、検討を進めることが必須となる。そのための準備が整い、今後、界面での軌道磁気モーメント変調の可能性が明らかになると考えられる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H24年度は、XMCD装置の立ち上げを集中的に行った。当初は結晶成長装置を導入した試料作製までを目指していたが、電子分光測定装置の立ち上げを今年度行い、結晶成長に関する研究は、次年度に行うことにしたため、予算の使い方を一部変更した。 次年度に結晶成長装置を導入し、本研究目的の達成に結実させる予定である。
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