2013 Fiscal Year Annual Research Report
電圧印加時の電子分光による強磁性半導体のキャリア誘起磁性に関する研究
Project/Area Number |
24686007
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡林 潤 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (70361508)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 磁気円二色性 / 結晶成長 / 外場印加 |
Research Abstract |
スピントロニクス材料を用いた新規物性として、電圧印加による物性制御が注目されている。スピン依存伝導特性の評価から議論が行われているが、電子状態の観点から電圧印加時の物性を捉える必要がある。異種元素の化学ドーピングよりも多量のキャリアを電圧印加により注入し、動作中の電子分光により、フェルミ準位のシフトによる議論が進むものと考える。そこで、申請者が手がけてきた「試料作製」,「電子分光測定」,「伝導測定」を組み合わせて初めて可能となる、電圧印加時、すなわち動作時の電子分光法を新しく構築することを進めてきた。この技術を用いて、界面キャリア注入時の電子状態(フェルミ面の軌道対称性)を調べ、誘起する強磁性の発現メカニズムを明らかにすることを目的として研究を進めている。 本目的を達成するには、磁性元素別の電子・磁気状態の観測が必要となる。そのためには、放射光をもちいた電子分光が有力となる。申請者が進めてきたX線吸収分光(XAS)、X線磁気円二色性(XMCD)の実験手法を活用して、測定パラメータとして外場を追加した新規分光法を開発した。2013年度は、上記の目的達成に向けて、試料作製装置を導入し、遷移金属合金と半導体の界面における軌道磁気モーメントの増強を誘起する系の探索を行った。前年度に開発したXMCD手法と組み合わせることにより、電圧印加によるスペクトル形状の変化についての知見を得た。さらなる理解を深めるために、次年度には試料構造の工夫や測定セットアップの改良により目的を達成するように進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
放射光を用いた電子・磁気分光のシステムの開発を行った。また、試料を作製する結晶成長装置を用いた研究が進展した。これらを組み合わせることで、本目的の達成に向けて着々と進んでいる。今後、実際の試料での動作時の電子・磁気分光を推進していくことで目的が達成される。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度立ち上げた電圧印加時の磁気分光を可能にする装置と結晶成長装置の整備か完成したところであり、これらを用いた研究の展開により、当初の研究目的の達成を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は、結晶成長装置を導入し、今までに立ち上げた外場印加時のXMCD装置と組み合わせる段階まで達成した。実際に大きな成果を得るには、後1年の研究期間を要するため、その際に必要な物品の経費を次年度に回すことにした。 今年度は、結晶成長装置を導入し、今までに立ち上げた外場印加時のXMCD装置と組み合わせる段階まで達成した。実際に大きな成果を得るには、後1年の研究期間を要するため、その際に必要な物品の経費を次年度に回すことにした。次年度にも研究を遂行できるように、消耗品等を購入する予定である。
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Research Products
(3 results)