2012 Fiscal Year Annual Research Report
線と面の異種金属ナノ溶接原理の確立と熱電機能の創出
Project/Area Number |
24686016
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
燈明 泰成 東北大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (50374955)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ナノ接合 / ジュール熱 / マイクロ/ナノ材料 / 異種金属 / 熱電機能 |
Research Abstract |
1.大気中で実験可能な三次元ナノ溶接機の構築 現有のピエゾステージ、マニピュレータ等から成り、異なる環境(走査電子顕微鏡内、および大気中)で実験が可能なナノ溶接機を試作した。ここに大気中での実験では新たに導入した高機能デジタルマイクロスコープを活用するものである。走査型電子顕微鏡内での実験では、直径200nmの銀ナノワイヤの溶接を実現すると共に、当該断熱環境下におけるナノワイヤ応用のための熱伝導モデルを提案した。これにより、電子顕微鏡内で同種、同一直径の金属ナノワイヤ同士を溶接するのに必要な電流値を解析的に予測可能にした。 2.異種金属極細線同士のナノ溶接条件 異種金属細線同士の溶接を試みた。様々な長さの組み合わせの、直径5Fmの白金細線とタングステン細線の先端同士を接触させ、同接触部に一定直流電流を付与して異種金属ジュール熱溶接を実現した。また当該異種金属細線系の熱伝導モデルを導出して、電流付与下における非対称温度分布を解析した。以上の実験結果と理論解析結果より、異種金属細線溶接においても、同種金属細線と同様なパラメータで溶接条件が整理できる可能性を見出した。 3.極細線と面のナノ溶接(その1:電流入出力方法の考案) 極細線同士の溶接で実績のある白金極細線(直径800nm)を対象とし、はじめに異なる直径(1~5μm)を有する白金細線との溶接を行った(同種金属溶接)。結果、直径5陣の細線との溶接においては、溶接に必要な電流が大径細線の長さに依存せず、小径細線の長さで決まることを見出した。この結果は十分な熱容量を有する物体への細線のジュール熱溶接条件が、細線のみで決まることを示唆するものである。次に、シリコン基板に白金薄膜を成膜して作製した基板に白金極細線を接触させると共に、通電プローブを基板上に接触させて極細線-プローブ間で通電して線と面との溶接を実現した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に記載のとおり、申請時に計画した研究を遂行し、三次元ナノ溶接機を構築して、異種金属細線、および極細線と基板とのジュール熱溶接を実現している。さらに来年度に予定しているレアメタルフリー熱電ナノワイヤの作製に関して、既に計画した原子拡散現象を利用する手法により酸化鉄ナノワイヤが作製できることを見出すなど、進展は順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度から継続の極細線と面のナノ溶接実験を完了させ、得られた実験結果を整理することで、新たに線と面の溶接条件を見出す。また、見出した異種金属ナノ溶接条件に基づき、ニードル先端に組み込まれた極微小熱電プローブを試作して世界最小級の温度計としての機能を確認する。さらに熱電応用に向けて、原子拡散現象を利用する手法により、鉄などのレアメタルフリー元素で熱電ナノワイヤを新規に大量生産することを目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、平成25年度請求額とあわせ、平成25年度の研究遂行に使用する予定である。
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Research Products
(17 results)