2014 Fiscal Year Annual Research Report
水素環境誘起ナノ欠陥の材料強度学的評価の体系化と燃料電池の信頼性向上に関する研究
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24686017
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 一永 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50422077)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 固体酸化物燃料電池 / 機械・電気・化学的連成効果 / ナノ欠陥 / 高信頼性 / 高性能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、主に以下の3つで想定以上の極めて大きな成果を上げることができた。まず、大きな酸素不定比性ならびにナノ欠陥密度の酸素濃度依存性の定式化に関しては実験および計算に基づく欠陥濃度解析モデルの構築に世界に先駆けて成功した。本成果についてはSolid State IonicsやJournal of the Electrochemical Society等の一流論文に3件掲載された。また、ナノ欠陥強度特性のキャラクタリゼーションに関してはスモールパンチ試験を中心に実験的手法や第一原理計算を用いた解析的手法で明らかにした。本成果は、JIS規格(固体酸化物燃料電池セル用セラミックス材料の特性試験方法)の策定に大きく貢献することとなり、Journal of Chemical Physicsやセラミックス等で招待論文として掲載された。また、Nanoテクノロジーに関する国際会議や材料学会で招待講演を行った。最後に、発電条件下における機械的・電気的因子の相互作用を考慮した数値解析の開発にも世界に先駆けて構築し、電池内部に発生するポテンシャル分布を推定することに成功した。以上の結果より、最適な運転条件や形状、材料選択等のデザインをある程度予測できる可能性を見いだすことに成功した。本成果は、Solid State Ionicsでの掲載や人工知能学会誌をはじめ3件の招待論文として掲載された。また、人工知能学会や非破壊検査協会にて基調講演および招待講演を行い、当該研究分野に大きく貢献できる成果を数多く出すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では模擬作動環境下での単セルレベル損傷評価試験を想定して計画を立てていたものの、その試験はクリアし、格段に難しい実機レベルの損傷その場評価試験法の開発に世界に先駆けて成功し、実際の割れメカニズムの解明に向けた検討を行うことができた。また、本研究成果に対し数多くの招待論文や基調講演、招待講演の依頼があり、本成果の重要性を世の中に示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
固体酸化物燃料電池の酸素欠陥が電池の性能および信頼性に及ぼす影響を検討してきたが、現在、他に開発されている全固体電池もイオンの移動が電池内部であるため、同様にナノ欠陥等の組成揺らぎが電池内部に発生することが考えられる。そうすると、充放電時に電池内部に大きな応力が発生し損傷する可能性が考えられる。本成果で得られた知見を基に他の全固体電池でもその場観察や数値計算を用いての性能・信頼性予測を行うことが今後も必要であると考えられる。
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Causes of Carryover |
本年度は物品費用として計上したセラミックス粉末等の支出が企業の好意で提供していただいたこともあり、予定よりも極めて小額で済んだ。加えて、成果発信よりも確実な成果の検証に多くの時間をかけ、旅費や論文投稿料を含め情報発信するための費用がかからなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は、昨年度までに確実に検証された研究成果を世界に発信するために使用する予定である。
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Research Products
(10 results)