Research Abstract |
当該年度の計画は,(1)Ni,Ysz,バインダを含むスラリーをスクリーンプリンティングにより電解質基板に塗布し,磁場を用いてNiを配列させる技術,(2)ナノインプリントで核生成制御したアルミナナノホールを用いたNiナノワイヤまたはYSZナノワイヤを生成する技術を開発することであった.(1)に関しては,磁場を360mTとして作製した燃料極が,磁場をかけていない燃料極に対して最大電流密度が1.6倍になった.ただし,この実験セルは空気極を有するのでその機能も含まれた電流密度であるが,空気極は同じ材料で同じ塗布方法を用いたため,最大電流密度の向上は燃料極の改善によるものである.また,燃料極をFIB/SEMで再構築した結果, Ni,YSZ,空隙,すなわち電子,酸化物イオン,ガスの通り道の界面である三相界面長さのうち,反応に使われている三相界面の割合が,従来の60%から80%に向上した.また電気化学シミュレーションによって過電圧が小さくなった..このことから,磁場をかけることでNiが物質輸送方向に配列し有効三相界面および有効な各相の体積が増えたものと考えられる.(2)に関して,イットリウムを含むジルコニウム金属膜の上に成膜したアルミニウム膜にナノインプリントで凹のパターンを施し,陽極酸化をすることでナノホールは作製できたものの,それに続く再陽極酸化ではジルコニアナノワイヤは生成できなかった.陽極酸化がジルコニウム表面に達したときに,ジルコニウム表面が酸化し,再陽極酸化の発生に適さない表面になったことが考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画における初年度では,Ni,Ysz,バインダを有するスラリーに磁場をかけることで各相が配列した燃料極を作製し,発電検証をすることであった.実際にはさらに先立ってFIB/SEMにより再構築を行い,過電圧計算を行った.それに対して再陽極酸化によるナノワイヤ生成に関しては成功していない.これらの理由から(2)と評価する.
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Strategy for Future Research Activity |
かける磁場強度と屈曲度・有効三相界面長さ・最大電流密度との関係を明らかにし,統合的に磁場の効果を調査する.さらに,再陽極酸化によるYSZナノワイヤを成功させた上で,高強度レーザによるYSZ微細ピラーの作製も試みる.これらの方法で配向された燃料極は,基板水平方向の伝導が悪い可能性があるため,燃料極作製後にNiスラリーを塗布して集電体との伝導を確保することを試みる.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
磁場によるパスの配向制御,再陽極酸化を行うためのYSZセル,スラリー,薬品等を用いる.また,微細YSZピラーを作製するための高強度レーザを用いる.これらの研究成果を対外発表するために,国内・国外発表および論文投稿を行う.
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