2014 Fiscal Year Annual Research Report
超平滑な酸素還元触媒を用いた純水中でのGe表面の金属フリー・原子レベル平坦化
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24686020
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
有馬 健太 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10324807)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 酸素還元 / グラフェン / ゲルマニウム表面 |
Outline of Annual Research Achievements |
超LSIのさらなる高性能化に向けて、電子・正孔共に高い移動度を持つゲルマニウム(Ge)を基板としたトランジスタ開発が世界中で進められている。半導体デバイスの信頼性は、デバイス構築前の半導体デバイスの平坦性で決まる。国際的なロードマップによると、表面マイクロラフネスを0.2nm以下に抑える技術が必要とされているが、現状では、Ge表面においてこれを実現するのは極めて困難である。本研究の目的は、金属汚染が一切残留しない条件下でGe単結晶表面を原子レベルで平坦化できる、純水中の溶存酸素を介した低環境負荷・超清浄型の表面創成プロセスを開発することである。 これを実現するためにはまず、非貴金属系の酸素還元触媒を開発することが必要である。そこで、触媒活性を上げることを目的として、グラフェンフレークに多くの窒素(N)原子をドーピングすることに取り組んだ。そして、Nドーピングを行う前の酸化グラフェンの作製方法を最適化することによって、昨年度までよりも高濃度のN原子を含有したグラフェンフレークを形成することが可能になった。 また、電気化学測定により、形成したグラフェン触媒の酸素還元活性を反応電子数の観点から評価した。そして、形成したグラフェン触媒が、白金とグラッシーカーボンの中間の活性を持つことを明らかにした。またその過程で、形成したグラフェン触媒をナフィオンにより基材上に固定化する手法を習得した。 また、水分子の吸着反応チャンバーを備えた真空一貫型のプローバーを開発した。そして、Ge表面に水分子が吸着した時に起こる、水分子とGe基板間での電子移動のメカニズムに関する基礎的知見を得た。 そして、得られたグラフェン触媒を用いてGe表面のエッチング実験を行った。純水中の溶存酸素量制御条件下でのGe表面のエッチングレート等を解明し、本提案手法が実現できるという確かな手応えを掴んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該研究を推進するにあたり、重要な開発項目は二つある。一つは純水中の溶存酸素を効率的に還元できるグラフェンをベースとした酸素還元触媒の開発、もう一つは、純水中でのグラフェン触媒によるGe表面のエッチング特性の解明である。 既に、酸化グラフェンからNドープグラフェンを得る還元・ドーピングプロセスを開発し、得られたグラフェンの触媒活性を評価するための電気化学測定も進んでいる。 またエッチング特性についても、グラフェンフレークによるGe表面のエッチング痕の観察、純水中の溶存酸素量とエッチングレートとの関係などが明らかとなった。また、Ge表面を平坦化するための基材へのグラフェンフレークの固定化に関しても検討を進めている。 以上より、本研究はおおむね順調に進展していると判断した。グラフェン触媒を用いたGe表面の平坦化実験については、まだ実験データが少ないが、実施した研究を通して、提案した手法の実現可能性は十分に示すことができたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
グラフェン触媒の性能をさらに上げるため、グラフェンネットワーク内への意識的な構造欠陥の導入と制御、さらに、複数の元素種をドーピングすることによるヘテロドープ等を行い、原子構造がより制御されたグラフェン触媒の生成を試みる。 またこれまでに、グラフェン触媒が有する酸素還元活性により、純水中でGe表面がエッチングされることを確認したが、その微視的なエッチング機構は、まだ明らかになっていない。プローブ顕微鏡技術を駆使することにより、グラフェン触媒近傍でGe表面が酸化・エッチングされる現象の素過程を詳細に調べたいと考えている。 さらに将来的には、本グラフェン触媒を用いた純水中でのGe表面の平坦化に留まらず、金属元素を含有しない低環境負荷型の触媒工具に昇華させるべく、グラフェン触媒の工具化に注力すると共に、応用範囲を他の半導体材料や溶液系にも広げたいと考えている。
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Causes of Carryover |
計画は概ね順調に推移しているが、重要な研究成果が期間の最終段階で得られたため、これらの成果を外部に公表する機会を逸した。そのため、これらの成果をまとめた国際会議発表を次年度に行うこととし、未使用額はその経費に充てたい。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
米国材料学会(Materials Research Society)の春の年会(2015 MRS Spring Meeting)での発表の為の旅費及び参加費の一部に充てたいと考えている。
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[Journal Article] Ambient-Pressure XPS Study of GeO2/Ge(100) and SiO2/Si(100) at Controlled Relative Humidity2014
Author(s)
Kenta Arima, Yoshie Kawai, Yuya Minoura, Yusuke Saito, Daichi Mori, Hiroshi Oka, Kentaro Kawai, Takuji Hosoi, Zhi Liu, Heiji Watanabe, and Mizuho Morita
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Journal Title
ECS Transactions
Volume: 64
Pages: 77-82
DOI
Acknowledgement Compliant
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[Presentation] Ambient-Pressure XPS Study of GeO2/Ge(100) and SiO2/Si(100) at Controlled Relative Humidity2014
Author(s)
Kenta Arima, Yoshie Kawai, Yuya Minoura, Yusuke Saito, Daichi Mori, Hiroshi Oka, Kentaro Kawai, Takuji Hosoi, Zhi Liu, Heiji Watanabe, and Mizuho Morita
Organizer
226th Meeting of The Electrochemical Society
Place of Presentation
Cancun, Mexico
Year and Date
2014-10-06 – 2014-10-06
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