2013 Fiscal Year Annual Research Report
周波数帯分離型位置-力ハイブリッド制御による能動安定化切削加工法の開発
Project/Area Number |
24686021
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
柿沼 康弘 慶應義塾大学, 理工学部, 准教授 (70407146)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 機械加工 / 切削加工 / 異常加工回避 / プロセス監視 / 力制御 / スピンドル制御 / ステージ制御 |
Research Abstract |
本研究では,工具と工作物間の相互作用により生じる異常加工を回避するために,周波数領域での位置-力ハイブリッド制御による能動的な異常加工回避技術の開発を行うことを目的としている. 平成25年度は当初の計画通り, ①センサレス切削力/トルクモニタリングの実験による性能評価②周波数解析による振動ピーク周波数導出手法の提案③周波数領域の位置-力ハイブリッド適応制御技術の開発 に取り組んだ.①に関しては,エンドミル加工試験により,二慣性モデルに基づくセンサレス切削力推定法を評価した.従来の剛体モデルに基づく推定に比べ,提案手法は切削力推定精度が高く,特に共振点近傍で高い効果を発揮することを確認した.②に関しては,通常加工と異常加工の周波数成分の差に着目した検出方法を提案し,オフラインデータを利用して,その有効性を明らかにした.次年度はリアルタイム検出に展開する計画である.③に関しては,始めに外乱オブザーバを応用した位置制御系ならびにセンサレス力制御系を設計し,そのロバスト性と指令追従性に関して評価した.ロバスト性を確保しながら,両制御系とも100Hzまで制御帯域を持つことを確認した.次に,ある周波数帯域のみをセンサレス力制御する制御器,それ以外の周波数帯域を位置制御する制御器を加速度次元で統合し,外乱オブザーバにより実現した加速度制御系のプラント側と結合することで,直流成分を位置制御しながら特定の周波数帯域を力制御するハイブリッド制御系を構築した.これを高精密旋盤の駆動ステージに実装して,びびり振動周波数近傍を力制御帯域に設定することで,工具軌道を維持しながら,80Hz付近で生じるびびり振動を効果的に抑制できることを明らかにした. 上記の研究成果は,国際誌1編,国際会議発表2件,国内学会発表2件で発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り,①センサレス切削力/トルクモニタリングの実験による性能評価②周波数解析による振動ピーク周波数導出手法の提案③周波数領域の位置-力ハイブリッド適応制御技術の開発に関する研究を実施し,それぞれの成果も順調に得られている.②の研究において,リアルタイム検出のみ平成26年度に行うことにしたが,平成26年度に計画した研究の一部をすでに実施している.
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は,初年度から取り組んできた異常加工検知手法と,本年度に開発した位置-力ハイブリッド制御による異常加工抑制手法を統合し,革新的なびびり振動抑制手法を確立する計画である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
提案した位置-力ハイブリッド制御による加工安定化手法の評価を行うために,計画当初は加速度センサを利用して振動レベルを測定することを考えていた.そのため加速度センサならびにアンプの購入費用が計上されていた.研究を進めた結果,センサレス切削力推定技術を利用した臨界切込み量による評価が有効であると判断したため,加速度センサならびにアンプを購入しなかった.そのため,その分の次年度使用額が発生した. 次年度は,①開発したスピンドルならびにステージを統合するための機械要素ならびに電子部品の購入②加工試験に必要となる工作物や工具の購入を計画している. また,外部センサにより提案手法の有効性を定量的に評価する必要があると考え,加速度センサを装着した振動レベルの評価を改めて行う計画である.そのため,平成26年度に購入を見送った加速度センサならびにアンプを購入する計画である.
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