Research Abstract |
キャビテーションの熱力学的効果は,キャビテーションの発生を抑制する好ましい効果として知られているが,その効果の程度や,逆転する条件等,未だ解明されていない点も多く,十分に制御できる効果とは言い難い.この効果は,クリーンエネルギーとして脚光をあびているLNG(液化天然ガス)の吸込みポンプや,高経年化対策が問題となっている原子力発電プラント等の高温高圧水系など,我々を取り巻くエネルギー環境に密接に関連した多くの流体機械において顕在化するため,エネルギー問題が深刻となっている現在,大変重要な現象であると言える.本研究は,高温高圧水キャビテーションタンネル実験を通じ,キャビテーションの熱力学的効果を解明し,その知見を反映したCFDモデルの構築を目指すものである. 研究初年度であるH24年度は,高温高圧水キャビテーションタンネルを建設し,試運転を行った.その結果,実際の実験を行うにはいくつかの改良と不具合の修正を行う必要があることがわかった.修正点としては測定部の芯出し,循環ポンプを通じての封水ラインから主温水ラインへの漏れの低減,給水ポンプの高流量化である.また,キャビテーションの可視化に関してタンネルの改良も行う必要があることがわかった.具体的には現在,側壁に石英ガラス製の観測窓が付いているが,視野が狭いため,今後,視野を広げたポリカーボネート製の窓との交換を検討する.また,上壁もポリカーボネート製窓と交換し,シートキャビティの上面と側面の同時可視化を行えるようにしたい. 以上のような改良,修正を経て,H25年度は,キャビテーション形態の相違によって,同じキャビティ長さでも熱力学的効果の出現度合いが変わるのか?流れ場の乱れによって熱力学的効果の出現度合いが変わるのか?等に注目して,実際の可視化実験を実行できるようにしたい.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
いくつかの改良,修正点は残っているものの,当初研究計画の通り,高温高圧水キャビテーションタンネルの建設が概ね終了している.H25年度より実際の可視化実験が実行できる見込みである.
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Strategy for Future Research Activity |
建設を行った高温高圧水キャビテーションタンネルは大型の実験設備であり,入札を行ったため,納期および動作確認が年度末ぎりぎりとなり,いくつかの改良,修正点について対策を取る時間がなくなってしまったため,次年度引き続き,高温高圧水キャビテーションタンネルの改良,修正を行い,設備の完成を目指す.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり,平成25年度請求額と合わせ,高温高圧水キャビテーションタンネルの改良,修正を行う.具体的には測定部の芯出し,循環ポンプを通じての封水ラインから主温水ラインへの水漏れ対策,給水ポンプの高流量化,可視化窓の視野拡大を行う.
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