2014 Fiscal Year Annual Research Report
ナノチャネル異方性電気二重層空間における超解像流動計測
Project/Area Number |
24686024
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
嘉副 裕 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20600919)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | マイクロ・ナノデバイス / 流体 / 流体工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、従来の流体の計測法に近接場光学と化学の方法論を融合させて、ナノ空間の流動解明に向けて光の回折限界を超える超高空間分解能流動計測法を創出することを目的とする。 平成26年度は、前年度に見出したナノ空間特有のトレーサナノ粒子の挙動について、更に理解を深めるべく研究を推進した。本研究で開発した計測法を用いて、深さ410 nmの石英製ナノ流路における64 nm蛍光ポリスチレン粒子の挙動を測定した。圧力駆動流によるマイクロ空間からナノ流路へのナノ粒子導入では、最大でも40%程度の粒子しか導入されなかった。そこで、ナノ流路内の粒子濃度分布計測から粒子に働く力を評価したところ、壁面-粒子間で0.1 pN程度の静電反発力が働いていることが判った。これにより、ナノ粒子の導入率は、表面近傍数10 nmの電気二重層に大きく依存することを明らかにした。しかし、電気二重層の効果を小さくした際にも、粒子導入率の低下がみられた。数μm/sの拡散距離で乱雑にブラウン運動する粒子が拡散距離より1桁小さいナノ流路に導入される確率など、他の要因も考えられる。一方、ナノ流路内でのナノ粒子の拡散係数を評価したところ、拡散係数がバルクよりも小となり、壁面に対して平行・垂直方向で拡散異方性がみられた。表面近傍の拡散異方性は、粘性力の効果として古くから知られている。しかし、本研究で得られたナノ流路壁面に垂直方向の拡散係数低下は、従来理論の予測よりも顕著であった。これは、従来は考慮されていなかった数10-100 nmでの表面効果が顕在化しているためと考えられる。以上、100 nmの極微小空間で支配的な表面効果によるトレーサ粒子挙動を明らかにした。これは、ナノ空間流動計測法確立のための重要な知見であるだけでなく、生体内の極小空間におけるウイルスや巨大タンパクの挙動の理解など、他の分野にも大きく寄与するものである。
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Causes of Carryover |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(9 results)