2013 Fiscal Year Annual Research Report
コンクリート細孔に存在する凝縮水の圧力変動と移動による構造物動的応答の変化
Project/Area Number |
24686054
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
藤山 知加子 法政大学, デザイン工学部, 准教授 (60613495)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | コンクリート / ひずみ速度依存性 / 細孔構造 |
Research Abstract |
コンクリート細孔中の凝縮水の水圧変化が構造物の動的応答に及ぼす影響を定量的に明らかにすることが,本研究の目的である.全体計画の3つの項目,1.飽和コンクリートの細孔構造と短時間外力による変形特性の関係を定量的に調べる実験,2.含水状態の違いが短時間外力に対する構造物の動的応答に与える影響を調べる実験,3.細孔中の水の影響を考慮したコンクリート材料の構成則の提案と検証,のうち,本年は1と2を実施した. 1. については,昨年度に引き続き,水セメント比のパラメータを増やし,縦ひずみに加え横ひずみについても測定を行った.また,水銀圧入試験を実施し,各試験体の細孔構造を調べ,構成則の提案と検証のためのデータを取得した.この結果,細孔中の水圧に起因すると思われるポアソン比の変化をとらえ,動的挙動に影響を及ぼす細孔径の絞り込みができた.圧縮強度増加倍率では一部の供試体で増加倍率が1以下の値を示したが,圧縮試験,曲げ試験共に増加率は1.1~1.4の範囲であり,既往の研究と同様な傾向を示した 2. については,10cm-10cm-40cmの小型試験体(無筋およびRC)による高速曲げ試験を実施した.引張強度増加倍率ではRC,無筋供試体共に増加倍率は1以上を示し,増加傾向にあることが確認された.しかし,供試体の個体差が大きく,既往の回帰式とは異なる傾向となった.また,載荷速度が増加するとコンクリートと鉄筋の付着切れが生じにくい傾向が示された. さらに,イギリス,ヘリオットワット大学の高速移動荷重載荷装置GRAFTIIを用いた6.0m梁の高速載荷実験を行った.1体は静的載荷により基本的破壊性状を確認した.残り3体については,時速換算で3~300km/hとなるように載荷速度を調整した疲労実験を実施中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた実験を実施中で,データも蓄積されており,おおむね順調であると自己評価している.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き実験を継続し,データの収集を行うため,現時点で認識している課題2点とその対応策について述べる. 一つ目は,小型梁の実験において,既存の載荷装置では載荷速度を一定以上増加させることが困難という点である.これについて,新たな特注載荷装置を設計し,発注を行う予定である. もう一つは,研究協力者に依頼している大型梁の実験で,当初の載荷速度と載荷荷重の大きさでは,載荷中の振動により試験体の安定性が損なわれ,安全装置が働き実験がストップしてしまう点である.これについては,載荷フレームの補強を依頼するとともに,安全性に問題がない範囲で実現可能な載荷スピードと荷重の大きさを選定し,数値解析にて当初計画からの変更の影響を検討することで,対応をはじめている.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究協力者に依頼していた実験に関する諸費用は,相手方の通貨ポンドで計算された.為替の変動や送金手続き等の費用を日本円で確定した結果,次年度繰越分が発生した.次年度も引き続き実験を依頼する予定であり,その費用に充てるものとした. イギリスでの実験で得たデータの整理のためのアルバイト謝金,および引き続き実験にかかわる費用として使用する.
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Research Products
(10 results)