2013 Fiscal Year Annual Research Report
地盤調査・斜面計測・数値解析からなる降雨時・降雨後の斜面安定度評価システムの確立
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24686056
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
酒匂 一成 鹿児島大学, 理工学研究科, 准教授 (20388143)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 自然現象観測・予測 / 土砂災害 / 地盤工学 / 地盤調査 / 斜面災害 / 不飽和土質力学 / 降雨 / 斜面安定 |
Research Abstract |
降雨時および降雨後の表層すべり型斜面崩壊を対象とした現地計測技術,数値解析手法,斜面安定度評価システムの開発およびシステムの実現可能性の検討を行ってきた。本研究では,これまでの研究成果に加え,システムの精度向上には地盤調査(測量,ボーリング試験,標準貫入試験,サウンディング試験,室内土質試験など)が重要な役割を担っていると考えられることから,地盤調査,現地斜面観測技術,数値解析からなる降雨時・降雨後の斜面安定度評価システムの確立を行う。そこで,(1)システムの実用化に向けた取り組み,(2):地盤形状と地盤構成の可視化手法の提案,(3):斜面安定度評価手法の開発に関する研究に取り組むことを目的としている。 平成25年度については,以下の内容について取り組んだ。 (1)現地斜面観測技術の一つの地表面からの蒸発に関して,土の水分状態と蒸発効率の関係について,より精度の高い計測・分析を行うことができた。また,室内土槽試験により,降雨による斜面崩壊時の変形挙動に関するデータを蓄積することができた。昨年度開発した不飽和浸透を考慮した斜面安定解析の改良を行うことができた。 (2)数値解析の解析領域および境界条件,材料条件の設定に利用するため,貫入試験と測量結果を組み合わせた地盤形状および地盤構成の可視化に関する研究に取り組んだ。本年度は,その実現可能性および手法について地質調査の技術者らと検討を行い,現地のボーリングデータの蓄積に取り組んだ。また,不飽和砂質土の強度パラメータの試験を実施した。 (3)昨年度作成したSPH法による斜面変形挙動解析プログラムについて,斜面内の応力分布や変形挙動を計算し,その妥当性評価および改良を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
システムの実用化に向けて,その評価手法のキーとなる不飽和浸透挙動を考慮した斜面安定解析手法の改良を予定通り行うことができた。地盤形状と地盤構成の可視化については,地質調査技術者らと検討を行い,ボーリングデータの収集などを進めることができた。また,解析に必要な不飽和土の保水・強度特性について,データを蓄積することができた。SPH法による斜面安定解析について,その妥当性評価および改良を予定通り実施できた。室内土槽試験を実施し,斜面安定度評価システムの妥当性確認に必要なデータをさらに蓄積することができた。以上のことから,おおむね順調に進展しているものと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24~25年度に得られた結果をもとにして,以下のように研究を進める。 ①斜面安定度評価システムに,これまでに検討した不飽和浸透を考慮した斜面安定解析を取り込む。また,防災科研で実施した土槽試験データおよび清水寺での計測箇所での安定度評価を試みる。 ②斜面安定評価の初期データとなる地盤形状と地盤構成の情報の取り込み方について検討する。 ③SPH法による斜面安定度評価手法の妥当性評価と改良のため,室内土槽試験結果との比較を行う。SPH法による斜面安定度評価手法に関して,オーストラリアのMonash大学のBui Hong Ha講師と連携し,解析手法およびプログラミングコートに改良を加える。 以上の成果より,地盤調査,現地斜面観測技術,数値解析からなる降雨時・降雨後の斜面安定度評価システムについての成果をまとめる。
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