2013 Fiscal Year Research-status Report
東日本大震災における支援物資の流動実態調査と課題抽出
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24686059
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
福本 潤也 東北大学, 情報科学研究科, 准教授 (30323447)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 東日本大震災 / 支援物資 / ロジスティクス / 災害対応 |
Research Abstract |
本研究では,東日本大震災における支援物資の流動実態を定量的に把握するとともに,今後の大規模災害時における支援物資ロジスティクスのあり方や地域防災計画における物資の調達・提供のあり方に関する知見を得ることを目的としている. 本年度は,被災市町村に届けられた支援物資の数量の時系列な変化を被災者数と比較することで,充足度の時系列変化や市町村格差を定量化した.分析結果から,市町村に届けられた物資量に市町村間で格差があった可能性を示した.分析結果は,研究代表者が過去に被災都道府県や被災市町村に対して行ったヒアリング結果や,物資提供者に対して行ったアンケート調査結果を裏付けるものである.今後の支援物資ロジスティクスのあり方を考える上で非常に重要な事実を明らかにしたと考えている.また,被災地で活躍した複数のNPOに対するヒアリング調査を行い,NPOセクターが活躍するための要件と今後の災害対応の仕組みのあり方についても検討した. 支援物資ロジスティクスを考える上で難しい問題は,無数の物資提供者が存在し,それぞれが自律分散的に物資提供を行うため,被災地に届けられる物資の数量に偏りが生じたり,物資のフローやストックの情報の標準化が不十分となり被災地や輸送途中で混乱が生じる点にある.本年度は,そうした問題を未然に防ぐため,被災者の支援ニーズと物資提供者が提供可能な支援物資を効率的にマッチングする仕組みのプロトタイプを提案した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
支援物資の定量化については,当初予定していた作業を概ね行うことができた.加えて,交付申請時には予定していなかったNPOセクターの物資支援についてもヒアリング調査を行い,様々な知見を得ることができた.ただし,調査・分析は概ね終了したものの,被災市町村との調整等に時間がかかり,研究成果の取りまとめを当初予定していた二年間の研究期間内に終わらせることができなかった.以上より,おおむね順調に進展していると自己評価する.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は,2年間の研究成果を外部に公表すべくワーキングペーパーや学術論文として取りまとめる.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究を実施する上で,被災市町村や被災地支援に携わっている各種団体からの情報提供が不可避である.被災市町村や各種団体との調整に時間がかかり,データの収集に時間がかかり,当初予定していたよりも分析期間が延びてしまい,次年度使用額が生じてしまった. 分析作業は概ね終了しているため,研究成果を外部に公表に向けて発信するための論文投稿料や掲載料に使用する計画である.また,研究成果を取りまとめる途中で部分的にデータの集計作業などが生じる可能性があり,その場合には学生バイトを雇用するための研究謝金にも充てたい.
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