2012 Fiscal Year Annual Research Report
バイクリスタル合成法による局在量子構造の材料設計と高機能化
Project/Area Number |
24686069
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
王 中長 東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 助教 (20510548)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | バイクリスタル / 結晶粒界 / 量子構造 / 機能元素 |
Research Abstract |
量子細線や量子ドットなどの低次元量子構造は、バルクとは完全に異なる物性を所有することから古くから注目されている。我々は半導体や絶縁体などの結晶内部に導電性量子細線を形成させる媒体として、結晶の線欠陥、すなわち「転位」に注目する。転位は、結晶中の原子配列が不連続になった線欠陥であり、その周囲に生じる弾性ひずみ場においては、ひずみ緩和のためにしばしば溶質元素の偏析が起こる(コットレル効果)。また、弾性ひずみ場では、溶質元素の拡散速度が完全結晶領域と比べて速くなる(パイプ拡散)ことが知られている。このような転位特有の性質を利用して、添加元素を転位に沿って拡散させて転位芯近傍に偏析させることができれば、溶質元素を1次元的に配列した量子細線構造を創出することが期待される。絶縁体結晶内部に量子細線を形成させる媒体として、転位を提案した。 転位を1次元的に配列させる条件を最適化した。転位導入法は、バイクリスタル法を用いた。酸化マグネシウム(MgO)のΣ5(310)[001]対称傾角粒界をモデル系として、球面収差補正走査透過型電子顕微鏡(STEM)を駆使して、結晶粒界近傍における形成される微細構造を原子レベルで観察及した。 高角環状暗視野(HAADF)像と原子分解EELSマッピングより、極微量の不純物であるカルシウム(Ca)原子とチタン(Ti)原子が同時に結晶粒界に偏析し、原子スケールで規則配列した自然には存在しない三次元構造(超構造)を形成していることが観察された。 セラミックス粒界における極微量の残留不純物が、規則的な超構造を自己組織化し、物性に大きく影響することがわかった。このような自己組織化メカニズムを積極的に活用することで、量子細線の自己形成や、原子レベルでの不純物制御によるセラミックス材料の高性能化、特異な電気・磁気特性の機能創生が期待されるだけでなく、量産面などのエンジニアリングの観点でも応用が可能である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
絶縁体結晶内部に量子細線を形成させる媒体として、転位を提案した。転位を1次元的に配列させる条件を最適化した。転位導入法は、(1)高温圧縮変形法、(2)バイクリスタル法、(3)配向薄膜粒界を予定していた。しかしながら、(1)高温圧縮変形法による転位導入は困難を極めたため、中止している。現在、(2)のバイクリスタル法を用いて成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実施概要として、バイクリスタル法を用いて絶縁体結晶内部に転位及び金属偏析を利用した量子細線を形成させる。添加機能金属元素については第一原理的な理論計算によって予測する。また、転位導入にはバイクリスタル法(バルクや薄膜)や高温変形法(バルク)を用いる。最終的に、量子細線の電流輸送特性や局所原子構造、電子状態を計測し、局在量子細線の物性の本質を解明する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度に主な経費として使用するものは、実験のための経費、成果報告の旅費、論文投稿料に分けられる。引き続き、多くの方位で高温拡散接合に挑戦するため、単結晶ブロック(計1,000千円)が必要である。その他、高純度金属(計650千円)や国際会議での成果報告のための渡航費(300千円)、論文投稿料(100千円)などを計上す
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Research Products
(43 results)