2013 Fiscal Year Annual Research Report
収差補正付きの走査透過電子顕微鏡を用いた格子歪場の直接測定による破壊物理学の革新
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24686079
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田中 將己 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40452809)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 転位 / 高分解能透過電子顕微鏡法 / 亀裂 |
Research Abstract |
材料の破壊は時に重大事故を引き起こすため,その抑止は材料の信頼性を担保する為に必須である.材料の靭性を表すパラメータの一つとして破壊靭性値が挙げられる.この破壊靭性値というマクロな破壊力学特性はThomson(1986)らを中心として端を発した「破壊の物理」によって,「亀裂と転位との相互作用」というミクロな材料科学的見地から取り扱う事の出来る物性値となった.そこで本研究では,弾性力学の範疇に留まっていた従来の亀裂ー転位相互作用に関する破壊力学研究を真の原子論的破壊物理に発展させることを目的とする.そのために,透過電子顕微鏡を用いた格子像解析により,亀裂先端近傍の格子点の平衡位置からの偏倚を計測し,転位内部応力を起源とする亀裂先端応力遮蔽場を格子歪場として直接可視化する.また,離散的転位動力学計算により予測される巨視的 破壊靭性の向上もまた遮蔽応力場の存在によって生じている事を,原子スケールでの歪場測定により実証する. 本年度は収差補正付きの高分解能電子顕微鏡を用いて転位近傍の格子歪場測定法の確立を行った.試料には膜面が(110)のシリコン単結晶を用い,インデンテーション法により導入した亀裂の先端を,手研磨の後にPIPSを用いて薄膜化する.ただし,PIPSで単純に薄膜化したのみでは,イオン照射によるダメージで像質の低下がまぬがれない.そこで,体加速イオンミリング装置を用いて最終仕上げを行い薄膜化で避けられないダメージを劇的に軽減した.膜面に垂直に導入された転位の高分解能観察を行い亀裂先端希望に発生した転位芯周辺の原子の平衡位置からの偏倚を計測し,亀裂先端近傍の格子歪場を測定した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
亀裂先端近傍に発生した転位によって生じる格子歪場の解析およびその歪場による亀裂先端の遮蔽場の測定に成功したため.
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Strategy for Future Research Activity |
26年度は,引き続き転位の観察に挑戦し,より精度の高い観察を行う.更に観察された歪場を定量的に評価する.更に実験結果を転位動力学計算によって得られた結果と比較しその妥当性を検証する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予想より功利的に試料作成が可能となったために,装置使用料が削減できたため. 転位動力学計算に必要なハードウェアを購入すると供に,電子顕微鏡使用料に当てる.
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Research Products
(7 results)