2012 Fiscal Year Annual Research Report
成長界面リアルタイム観察によるシリコンカーバイドの溶液成長ダイナミクスの解明
Project/Area Number |
24686083
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉川 健 東京大学, 環境安全研究センター, 准教授 (90435933)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | シリコンカーバイド / 溶液成長 / 成長界面 / リアルタイム観察 / バンチング |
Research Abstract |
SiC結晶-溶液間界面のリアルタイム観察に関して、H24年度は以下を実施した。 1.SiC結晶-溶液間界面の観察・加熱システムの構築 1300~1600℃のSiCの溶液成長や基板の溶解過程の、成長結晶の背面を通した3次元観察を行うことを目的とし、種々の観察手法を試みた。その結果、白色光源を用いた明視野観察により、SiCのスパイラル成長を捉えることに成功した。また、SiC基板の上下面での干渉を利用した干渉計測を導入することで、成長あるいは溶解中の界面構造の5-10nmの測定精度での高さ計測が可能となり、界面形状の3次元計測法を確立した。明視野像と干渉像の同時観察が可能な観察系の作製を完了した。 一方、任意の条件での加熱観察を可能とするため、種々の温度・タイミングで溶媒を種結晶に接触させることが可能な雰囲気制御型加熱システムを新規に作製し、その試運転を完了した。 2.Sic結晶のメルトバック機構とそのカイネティクスの調査 種結晶の表層の残留歪層を溶解除去して高品質の結晶の成長を得る技術のメルトバック過程における、界面構造の変化とSiC結晶の溶解速度の調査を行った。基板結晶に接触する以前の溶液中炭素濃度が小さい場合には、種結晶に内在する貫通らせん転位を起点として、六角形状の局所的溶解が進行することを確認した。また、溶解に伴う基板の厚みの変化を干渉計測により測定し、溶液へのSiCの溶解が溶液中物質移動に律速されることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、成長界面の3次元計測を行う上で共焦点レーザー顕微鏡による観察を予定していたが十分な解像度には至らなかった。そこで、SiC基板の上下面での干渉を利用した干渉計測を導入し、界面の3次元計測手法を確立した。その計測法を利用したSiCの溶解挙動の調査を実施し、溶解速度の決定因子を解明した。一方、結晶成長実験に用いる加熱システム中で溶液内の対流を制御する機構の構築には至っておらず、これを踏まえ達成度をやや遅れていると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに作製した高温界面観察システムに一部改良を加え、SiCの溶液成長時の成長機構の調査を行うとともに、成長モフォロジーと転位の相関性を調査する。また種々の溶液を用いた際の界面の平滑性についても検討を行う。 得られる観察結果を基に、高品質SiC結晶を得る溶液系と成長条件を明らかにするとともに、1000℃を超す高潤〓おける界面成長機構の基盤サイエンスの構築を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
高温界面観察システムを概ね構築できたが、溶液内の対流生成・制御機構の付設は未達成である。そこで、当該機構を早期に作製する。次いで実験試料を調整するための予備加熱溶解装置や、精密研磨装置を導入する。また得られた成果を発信するための国内外の学会参加と論文発表を行う予定である。
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Research Products
(6 results)