2013 Fiscal Year Annual Research Report
アミロイド形成に学ぶ,タンパク質修復動作を有したバイオインターフェースの設計開発
Project/Area Number |
24686086
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
島内 寿徳 岡山大学, その他の研究科, 准教授 (10335383)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | バイオインターフェース / アミロイド / 生体膜 / タンパク質 / メンブレンチップ / 生体膜晶析 |
Research Abstract |
アミロイド形成やそれに類するタンパク質の構造異常化を誘発しないようなバイオインターフェースの設計指針を得るため,以下の点について検討する. ・人工細胞膜界面を作成し,膜界面の相状態などを検討する.次に,タンパク質に対する応答挙動がアミロイド形成環境に有利であるかを検討する.そのために,アミロイド形成過程と膜界面の動的変化を検討する. ・上記で検討した人工細胞膜を,透析膜モジュールに表面修飾し,アミロイド性タンパク質の吸着,アミロイド形成過程を評価する. 以上を総括して,医療用デバイスのためのバイオインターフェースの設計指針を提案する. H25年度は,脂質膜上におけるアミロイド原因タンパク質(Aβ)の核形成過程に関して詳細に検討した. まず,脂質膜を固定化した水晶振動子上へのAβの蓄積挙動を検討した結果,脂質膜の組成に依存してAβの蓄積量が変わる事を見出した.この蓄積過程は脂質の相転移温度と関連しており,流動状態であればAβは内部に配向しやすく,ゲル状態であればAβは表面に配向しやすい事が示唆された.実際に,時間飛行型二次イオン質量分析計を用いて,脂質膜表面におけるAβの分布状況を検討した結果,上記の結果を支持する事が分かった.内部への配向は核形成には不利のようであり,一方,表面への配向は核形成に有利である事が示唆された.これらの結果と,相状態の異なる脂質膜上でのAβの核形成時間が対応する事が示された.それゆえ,脂質膜の表面状態とAβの配向性との関係が明確になった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
時間飛行型二次イオン質量分析計を駆使する事により,脂質膜界面上におけるAβの分布状況と核形成挙動との間に一定の関連性がある事を明確化できた.これは申請時における達成目標の一つであり,それが達成できたことからも上記のような進展状況であると判断される.
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Strategy for Future Research Activity |
脂質膜界面におけるAβの構造状態を調べ,構造が制御される可能性を明らかにする.それに向けて,以下の検討を進める. ・脂質膜界面における構造変化 ・模擬血液を用いたAβの構造モニタリングと脂質膜の重要性 ・透析膜モジュールへのAβの蓄積挙動/アミロイド形成とモジュール設計
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H25年度は主に脂質平面膜の研究環境の立ち上げとその遂行に経費投入を優先させた。そのため、最終年度において、脂質平面膜や高分子膜からなるインターフェースの機能評価とタンパク質構造の修復動作についての集中的な検討が必要になると考えた。それゆえ、最終年度に若干の経費の余裕を持たせ、タンパク質の購入などが余裕をもって行えるようにした。 本来の使用計画では、H26年度はβ2-ミクログロブリンやα-シニクレインなど、他のアミロイド性タンパク質にも検討枠を拡大する。そのため、以下の付加的な費用充足を考えている。 1.上記のタンパク質のバイオインターフェース上での挙動を検討するため、H25年に実施した実験計画の一部(飛行時間型二次イオン質量分析など)を進める。そのための費用として充てる。2.上記のタンパク質に関連する各種生化学分析用の市販の評価キットも購入したい。3.(項目1,2の使用を踏まえて、さらに可能であれば、)成果の公表のための英文校正費用や論文掲載料に充てたい。
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Research Products
(18 results)