2013 Fiscal Year Annual Research Report
CO2の電気還元反応プロセスにおける多孔質電極の最適設計
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24686088
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
井上 元 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40336003)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 反応工学 / 電気化学 / モデル化 / 輸送現象 / 化学工学 |
Research Abstract |
二酸化炭素の電解還元反応プロセスなど,グリーンケミストリー技術として注目されている電解合成プロセスにおいて,異相反応系では多孔質電極が用いられる.多孔質電極内部の反応種の輸送反応機構の解明,電解液-反応ガス間の界面安定性の把握を実測と解析の連成により行い,その知見により耐久性とエネルギー効率に優れた最適電極構造を開発することを目的とする.初年度はフローセルを用いたエタノールの電解酸化を対象に,各電位における各種生成物(酢酸、アセトアルデヒド、CO2)の選択率,収率と反応条件評価した.2年目は電解合成システムを応用しバナジウムの電気化学的酸化還元反応を利用したバナジウムレドックスフローバッテリーにおいて,炭素繊維電極の各種表面改質手法と反応活性の相関を検証した.熱処理とプラズマ処理を施した炭素繊維不織布を電極に用い,電流密度電圧特性を測定し,さらに電気化学反応速度式における電極活性パラメーターである交換電流密度を,交流インピーダンス法のカーブフィッティングにより過電圧分離した活性化過電圧のフィッティングにより決定し,この値を各種電極で比較した.未処理よりも熱処理,プラズマ処理を施すことにより,活性化過電圧も濃度過電圧も低下した.これら処理による黒鉛化度の向上,バナジウムイオンの反応サイト向上に繋がる親水官能基の増加,親水化による電解液の浸透性向上が可能性として挙げられ,実際にFT-IR測定により親水化を確認した.また炭素繊維不織布の立体構造から,反応表面積と物質輸送特性の両観点から,出力密度向上に向けた構造設計の指針提案を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
バナジウムレドックスフローバッテリーを対象にした,電気化学酸化還元反応セルを作成し,測定システムと手法を確立した.また交流インピーダンス法による過電圧分離と電気化学反応のモデルフィッティングもその一連の技術を確立した.なお本システムの経済性の観点から,前年度用いた白金安定化電極ではなく,炭素繊維不織布電極を今回用い,内容を一部変更した.
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Strategy for Future Research Activity |
新規材料開発,対象材料・要求条件に関して国内外の関連研究の動向を調査し,本研究の方向性が,現状の電解合成プロセスの動向や開発側からのニーズに常に合致するように進めていく.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
情報収集と学会発表の旅費として計上していたが近隣での学会開催が多く、次年度使用額として繰り越すこととした。 白金等の貴金属を使用した多孔質電極は価格変動が大きく、この電極材料購入費として計画を設定した。
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Research Products
(1 results)