2013 Fiscal Year Annual Research Report
タングステートの構造制御に立脚した高機能触媒の開発
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24686091
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
鎌田 慶吾 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 准教授 (40451801)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | タングステート / 触媒 / 酸化 / 多核錯体 |
Research Abstract |
本申請研究では、分子性酸化物クラスターであるタングステートの触媒活性点構造を原子・分子レベルで制御することで全てのタングステンが活性点となる高機酸化能触媒を合成し、これら触媒による有害な副産物を生成しない選択酸化を中心とした有機合成プロセスの開発を目的としている。本年度は、昨年度見いだした過酸化水素を酸化剤としたアルケンのエポキシ化反応において既存のタングステン触媒の中で最高活性を示すプロトン化された四核ペルオキソタングステートの新規合成方法の開発に成功した。タングステン酸、過酸化水素、塩酸の反応混合溶液にテトラプロピルアンモニウムクロリドを添加することで、新規なクロロ基をもつ単核オキソジペルオキソタングステートを合成した。単結晶構造解析の結果から、各結合距離はW-Operoxo (1.938-1.953 ang), W=O (1.689 ang), O-O (1.492 and 1.503 ang), W-Cl (2.366 ang)となり、従来のペルオキソタングステートやクロロタングステン錯体と同程度であった。また、元素分析、赤外分光スペクトル、ラマン分光スペクトル、紫外可視吸収スペクトル、核磁気共鳴スペクトル、質量分析の結果から、固体構造が溶存状態においても保持されることが明らかとなった。このクロロ基を有する単核ペルオキソタングステートと硝酸銀との反応によりプロトン化された四核ペルオキソタングステートが生成し、その収率は従来の二核ペルオキソタングステートと過塩素酸との反応により合成する手法と比べて大きく向上した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規なクロロ基をもつ単核オキソジペルオキソタングステートを合成し、既存のタングステン触媒の中で最高活性を示すプロトン化された四核ペルオキソタングステートの新規合成方法の開発に成功したため。
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Strategy for Future Research Activity |
H2O2以外にもH2+O2を酸化剤とした高難度酸化反応であるアルカンからアルコールへの水酸化反応、アルケンのエポキシ化反応などの達成を目指す。また、O2のみを酸化剤とした選択酸化反応についても検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
計画変更で若干の残額が出たため。 次年度の試薬購入などの物品費として使用していく予定である。
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Research Products
(3 results)