2013 Fiscal Year Annual Research Report
固体表面におけるケイ素カチオンと有機塩基の協同触媒作用を利用した新反応の開拓
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24686092
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
本倉 健 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 講師 (90444067)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 固体表面 / ケイ素カチオン / モンモリロナイト / 金属錯体触媒 / 協同触媒作用 |
Research Abstract |
平成25年度の研究では、固体酸モンモリロナイト表面に形成される特殊なケイ素カチオンの触媒作用について、さらなる詳細を明らかにした。このケイ素カチオンはアルケンのアリルシリル化反応に高い触媒活性をもつ。触媒活性は、少量の水が存在すると向上することがわかっている。この要因について、速度論的検討等を詳細に行うことによって明らかにした。加えて、前年度の研究によって見出した、固体表面における金属錯体と有機塩基の協同触媒作用についての検討を継続して行った。 さらに、種々の金属錯体の触媒作用について検討している過程において、ジホスフィン配位子をもつ銅錯体が二酸化炭素の還元反応に高い活性をもつことを見出した。この錯体の触媒回転数 (TON) は、1気圧の二酸化炭素とヒドロシランからのシリルホルメート合成において、7万回に達した。この値は、これまでに報告されている二酸化炭素とヒドロシランの反応における触媒回転数と比較して、1ケタ以上高い値である。反応条件下での多核NMR測定を駆使することで、二酸化炭素還元における反応機構および触媒活性種の構造を明らかにした。さらに、二酸化炭素とアミンからのホルムアミド合成においても、上記の銅錯体触媒が高活性を示すことを見出した。この反応においても、1気圧の二酸化炭素が使用可能であり、触媒回転数は1万回以上であった。これらの研究成果は温和な条件での二酸化炭素の還元的変換反応における新たな手法を提供するものである。 上記の研究成果をもとに、平成25年度は査読付き投稿論文発表5件、国際会議発表 7件、国内学会発表 6件を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
固体酸表面において形成される特殊なケイ素カチオンの構造およびアリルシリル化反応における触媒作用について、共存する水の効果を含めて、より詳細を明らかにした。さらに、金属錯体と有機塩基との協同触媒作用へ展開する過程で見出した銅錯体触媒の二酸化炭素の還元的変換反応の触媒作用を明らかにし、二酸化炭素とアミンからのホルムアミド合成を達成した。以上より、研究は当初の計画以上に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究で得られたケイ素カチオン・金属錯体の触媒作用を応用し、更なる高活性・高選択性を発現することのできる触媒活性点構造の構築を試みる。具体的には、同一固体表面に複数の活性点(金属カチオン・金属錯体・有機官能基)を有する触媒を調製することで、活性点同士の相互作用を抑制しつつ、目的の触媒反応を達成する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初計画していた研究を遂行する過程で、予定したものとは異なる構造でありかつ高い性能を示す触媒を見出し、こちらの詳細を検討したため。 高活性を示した触媒を用いるさらなる検討を行うとともに、当初計画していた触媒の調製・反応試験を行うために使用する予定である。
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Research Products
(21 results)