2013 Fiscal Year Annual Research Report
湿式処理とイオン液体電析法を融合した新規レアアースリサイクル技術の開発
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24686101
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
松宮 正彦 横浜国立大学, 環境情報研究院, 准教授 (00370057)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | レアアース / リサイクル / イオン液体電析法 / 応用電気化学 |
Research Abstract |
本研究はレアアース資源の安定供給策として、我が国独自のレアアースリサイクル技術の確立に向けて、湿式分離とイオン液体電析を融合することで、エネルギー投与の少ない研究開発を目的とする。本年度は以下の研究課題を重点的に遂行した。 1) ラマン・紫外可視分光法による希土類錯体の分光学的解析 最も核となる「イオン液体電析法」において、イオン液体中での希土類錯体の溶媒和構造を分光学的解析により判断することは重要である。希土類種としてNd, Dyを対象として、イオン液体中での溶媒和構造の評価はラマン及び紫外可視分光法を適用した。分光学的解析により、イオン液体中でのNd3+,Dy3+に配位するTFSAアニオンは二座配位であり、溶媒和数は5.0~5.1であることが明らかとなった。実験側からの分光学的解析だけではなく、密度汎関数計算により最安定構造や振動数解析を行うことで重要な知見が得られる。そのため、溶媒和数に基づき錯体モデルを作成し、密度汎関数計算を実施した。その結果、TFSA錯体ではcis型よりもtrans型配位の方がエネルギーが低く、安定であることが明らかとなった。 2) 電気化学測定による希土類錯体種の還元挙動解析 イオン液体中での還元・拡散挙動の解析には電気化学的手法を適用した。具体的には、方形波手法を用い、電流-電位曲線には半積分・半微分解析法を適用して、拡散係数を解析した。希土類種の拡散係数は鉄族金属よりも小さく、拡散に伴う活性化エネルギーは大きいことが判明した。上記の知見を実廃棄物からの希土類金属回収に適用し、解体・分別~熱減磁・メッキ剥離~酸化焙焼~酸溶解~湿式沈殿分離~希土類金属塩合成~イオン液体電析まで実施した。希土類回収技術は、特願2013-214762として特許出願まで実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
共同研究先であるDOWAエコシステム株式会社・環境技術研究所の協力体制の下で、希土類回収技術の実用化に向けて、着実な進展と効率的な研究開発が実施できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実施計画に基づき、今後は「実廃棄物を利用した希土類金属回収プロセスの適用性検討及びコスト評価」を目標に掲げ、以下の項目ごとに実施する計画である。 1)実廃棄物を利用した鉄族金属の分離及び希土類金属の電解回収 平成25年度までの研究成果をプロセス技術に反映するため、「イオン液体電析」を中心に研究を遂行する。本研究では電気化学測定から得られた希土類種の還元/拡散挙動に基づき、Nd, Dy混合系におけるイオン液体電析を実施する。得られた電析物の表面形態及び化学結合状態はSEM/EDX及びXPSにより評価する。希土類混合系だけではなく、実際の廃希土類磁石を利用した一連のプロセスによる鉄族金属及び希土類金属の分離・回収試験を実施する。本試験は湿式分離工程を導入した改良プロセスにより実施し、鉄族金属の分離除去率、残留する鉄族金属の電解回収に必要なエネルギー、希土類種の電解回収に必要なエネルギーを評価する。 2)希土類金属回収プロセスのエネルギー/コスト評価及び適用性検討 項目1)における電解に要するエネルギー見積もりだけではなく、総合的なエネルギー/コスト評価を検討するため、湿式分離工程では改良プロセスのスケールアップ試験を実施し、必要な総エネルギー/総コスト評価を計画している。
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Research Products
(15 results)