2012 Fiscal Year Annual Research Report
セシウム汚染土壌の塩化揮発法による除染に関する研究
Project/Area Number |
24686105
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
平林 大介 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (00402397)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 汚染土壌 / セシウム / 塩化揮発法 / 乾式除染 / 実土壌 / 模擬土壌 / 粘土鉱物 |
Research Abstract |
本研究は、原子力事故により環境中に飛散し表層土に強固に固定したセシウムについて,塩化揮発法を用いた乾式除染を行い,廃棄物を減量化する技術に展開することを目的とする.計画している具体的な研究項目は,(1)分離困難な土壌への塩化揮発法の適用性を解明すること,(2)固定化したセシウムを効率的に塩素化し揮発させるための塩化剤の選定を行うこと,(3)セシウム分配挙動を確認しつつ,分離効果と処理量を最大とする操作条件を探索すること,(4)処理後の土壌について健全性の確認および,(5)気相に揮発したセシウム塩の回収法を確立することの5つである。 平成24年度は,(1),(2)の評価を行うための模擬サンプルの作製を行った.当初計画に基づき,愛知県内の水田および畑地で実土壌を採取,2:1型粘土鉱物であるベントナイト,白雲母,バーミキュライトを入手し,それぞれを用いて安定セシウムを吸着した模擬土壌サンプルを作製した.塩化揮発によるセシウム除去実験に先だって,福島県下で採取した汚染土壌へのセシウムの吸着状況を重点的に調べた.実汚染土壌サンプルを分級し,粒径区分毎にセシウムの放射能を,高純度ゲルマニウム半導体検出器を用いて測定し,粒径と比放射能の関係について調べた.その結果,5μm以下の微粒子について,重量組成は7.6wt%と小さいものの放射能への寄与率は64.7%と大きいことがわかった.この知見を基に,セシウム吸着の寄与の大きな5μm以下の粒子からなるベントナイトを用いたサンプルを対象に,塩化揮発法の適用性を評価した.塩化剤として塩化水素を濃度10vol%,最高加熱温度1000℃,処理時間1時間の条件で塩化揮発実験を行ったところ,当初模擬サンプルに吸着したセシウムのうち60%が,処理後の土壌に残留し,セシウム除去率は40%程度にとどまることがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
分離困難な土壌を対象に塩化揮発法を適用しセシウム除去実験を行ったところ,当初計画で想定していた温度域(~1,100℃)での塩化揮発実験では,セシウム除去率はおおむね40%と低いことが明らかとなったため,予定計画に先立って除去性を向上させるための追加検討が必要となっている.
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Strategy for Future Research Activity |
セシウム除去率の向上のため,粘土の結晶構造を破壊,セシウムの塩素化を促進するための補助剤の添加等,前処理を検討している.土壌の前処理条件の検討後,速やかに,平成25年度計画の健全性評価ならびにセシウム回収法の検討を実施する予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
塩化揮発装置の組み立てに使う消耗品費が節約できたため残額が生じた。当該経費は、次年度経費とともにセシウム除去促進のための追加検討に要する消耗品費に使用する。
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Research Products
(1 results)