2012 Fiscal Year Annual Research Report
化学分離を必要としない迅速な放射性ストロンチウムの絶対測定法の研究
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24686106
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
海野 泰裕 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測標準研究部門, 研究員 (90462837)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 放射能測定 / 放射性セシウム / 放射性ストロンチウム / 純ベータ核種 / 福島第一原子力発電所事故 / 化学分離 / プラスチックシンチレータ / NaI(Tl)検出器 |
Research Abstract |
本研究は、放射性ストロンチウムのような純ベータ核種が放射性セシウムなどの他のガンマ線放出核種と混在状態にある場合に、化学分離を用いずに絶対測定する方法を開発することを目的としている。その測定原理は、ベータ線検出器とガンマ線検出器の集合体から得られる波高値と計数率から、全ベータ線放出率を絶対測定し、前述のガンマ線検出器の単独でガンマ線放出核種の放射能を測定し、全ベータ線放出率からガンマ線放出核種によるベータ線放出率を差し引くことにより、純ベータ線核種を測定する。 本測定法を汎用性が高い測定手法として確立するため、プラスチックシンチレータをベータ線検出器(以下、PLS検出器)とし、タリウム活性化ヨウ化ナトリウムシンチレータをガンマ線検出器(以下、NaI(Tl)検出器)とする構成を検討している。平成24年度は既存のPLS検出器・NaI(Tl)検出器の組合せによる試作機での原理実証を試みると共に、技術課題の抽出に努めた。 試作機では、PLS検出器によるベータ線測定の高感度・低ノイズに配慮しつつ、NaI(Tl)検出器によるガンマ線測定の効率を向上させる配置を構成した。それを用いた測定の結果、本測定原理は十分に成立することが確かめられた。一方で、放射能濃度が低い場合、放射性セシウムに対する放射性ストロンチウムの比が低い場合は、測定できる下限を改善した上で評価する必要があることがわかった。この改善へ向けてカギとなる下記の技術課題について、平成24年度中に取組んでいる。 1.ベータ線測定の特性評価と最適化 2.検出器配置構成の最適化へ向けたモンテカルロシミュレーション計算によるツール開発 上記1については、PLS検出器に対する受光器の選定・測定におけるハンドリング技術などを詳細に調査し、改善される方策としてPLS検出器自体の小型化と受光器の近接化が考えられることを定めた。上記2では、新たなプログラムを開発し、実測との比較によりその妥当性が確かめられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的である原理検証と実証実験による測定手法の確立に対して、すでに実測による実証を済ませた。本手法を確立していくための技術課題が抽出され、今後の進展へ向けた目標設定も当初の計画の範囲内で行われている。
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Strategy for Future Research Activity |
本測定方法の確立へ向けて、平成24年度に抽出された課題を反映した測定器を製作し、測定下限や不確かさなどの測定手法に関わる仕様を明確にしていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
計算により最適化された測定器の製作を目指しており、特に継続してガンマ線検出器を完成させる。その測定器の特性評価を実施し、期待される測定能力を明らかにする。
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