2013 Fiscal Year Annual Research Report
IS法と光触媒反応からなる熱-光化学ハイブリッド水素製造プロセスの開発
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24686107
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
萩原 英久 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30574793)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ISプロセス / 水素 / 光触媒 / 水分解 |
Research Abstract |
本研究の目的は、熱化学水素製造法として知られるIS法と光触媒反応や光電極反応を組み合わせて、太陽光エネルギーを利用して効率よく水を分解する熱-光化学水素製造プロセスの開発であり、今年度はヨウ化水素水溶液からの水素生成反応に高い活性を示す光触媒系の探索を中心に研究を進めた。 前年度に引き続き、ヨウ化水素の光分解反応(2HI→H2+I2)に高い活性を示す触媒を探索した。その結果、可視光応答性を有する光触媒よりもワイドバンドギャップ半導体である複合金属酸化物の方が活性は高く、特にTa系酸化物が高活性であった。現在のところ理由は不明だが、Ta系酸化物の中でもKTaO3がこの反応に対して特異的に高い光触媒活性を示し、反応溶液中のHI濃度を上げることで反応管内にI2の析出が確認された。また、生成ガスと反応溶液中のイオン量の経時変化を調べたところ、水素は光照射直後から一定の速度で生成するのに対し、I-量は速やかに減少することが明らかとなった。減少したI-はI3-に変化した後I2として析出するが、IO3-等は生成しなかった。さらに、反応溶液中のカチオンを分析したところ、K+量がわずかながら時間経過とともに増加したことから、反応中にKTaO3からK+が少しずつ溶出することが明らかとなった。一方、Pt助触媒については反応前にHI溶液への溶出が確認されたものの、反応後1時間からPtの担持状態に大きな変化は観察されなかった。これは、Ptが溶液中に溶解しても光触媒反応によってKTaO3上に再担持された結果を示唆している。 以上の結果から、ヨウ化水素の光分解反応に対してKTaO3が高い光触媒活性を示すことが明らかとなった。Pt助触媒の反応中の変化は観測されなかったが、KTaO3中のK+の溶出が確認されたことから、触媒の活性向上とともに耐久性の向上も今後の重要課題であることが明確になった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画ではヨウ化水素水溶液からの水素生成反応に高い活性を示す光触媒を探索する予定であり、Pt担持KTaO3が特異的に高活性であること見出すことができた。今後の研究期間で硫酸分解反応についても検討し、計画通りに研究を遂行する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の方針として、ヨウ化水素の光分解反応の反応条件を最適化するとともに、光触媒に対する異種金属の添加や助触媒の最適化などを行い、活性の向上を検討する。硫酸分解反応に対して高活性な触媒の探索を引き続き行い、光アシスト効果の検討や耐酸性・耐腐食性を有する助触媒による水素生成反応過電圧の低減を試みる。得られた研究成果を総括する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究計画では今年度に実施する予定だった硫酸分解反応の検討がやや遅れてしまい、それに伴い高温中での硫酸分解反応活性を調べるために必要となる電気炉などの高温ユニットの購入が遅れてしまったため。 次年度の硫酸分解反応に対する光アシスト効果の検討には、反応系を高温にする必要があることから、電気炉を新たに購入する予定である。また、電気炉以外にも光触媒の調製や表面修飾に必要な試薬やガス類の購入、実験に必要なガラス器具等の消耗品などが主な研究費の用途となる予定である。
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Research Products
(1 results)