2013 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝学的技術を用いたホヤ幼生の光感覚入力から行動出力に至る神経回路の機能解析
Project/Area Number |
24687008
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
堀江 健生 筑波大学, 生命環境系, 助教 (10455925)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | ホヤ / 神経回路 / 光受容細胞 / 行動 / 光遺伝学 |
Research Abstract |
尾索動物ホヤの幼生の中枢神経系は脊椎動物と多くの共通点を備えているにもかかわらず、わずか100個程度という非常に少数のニューロンから構成されている。また、ホヤ幼生の中枢神経系は光制御型チャネル/ポンプを利用することにより簡単に操作することが可能である。本研究はシンプルかつ操作可能であるホヤ幼生の中枢神経系をモデルとして、光感覚入力から行動出力に至るまでの神経回路について、その全貌を細胞レベル、遺伝子レベルで解明することを目的としている。 ホヤ幼生は明刺激では停止し、暗刺激で遊泳行動を開始する。光受容細胞で受容された光感覚入力がどのようにして行動を出力するのかを明らかにするために、光受容細胞で蛍光タンパク質および経シナプストレーサーWGAを発現させ、光受容細胞を起点とする神経回路のトレース実験を行った。その結果、光感覚入力から行動出力に至るまでの神経回路は、①光受容細胞、②光受容細胞からの入力をうける2次ニューロン、③2次ニューロンからの入力を受け筋肉を駆動させる運動神経回路によって構築されることが明らかになった。光受容細胞からの入力を受ける2次ニューロンの性質について解析を行ったところ、光受容細胞は、興奮性のグルタミン酸作動性ニューロンと抑制性のGABA作動性ニューロンであった。Ca2+センサータンパク質GCaMP8を用いたCaイメージングにより、遊泳運動中の個体において活動イメージングを行ったところ、暗状態から明状態にした場合に活動するニューロンを同定した。現在、これらのニューロンにおいて光制御型チャネル/ポンプを発現させた場合の個体の遊泳運動解析を行い、ニューロンの機能解析を行っている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H25年度は昨年度に引き続き、光受容細胞を起点とする神経回路の組織学的な解析と活動イメージングを行った。また、光受容細胞からの入力を受ける2次ニューロンの性質の同定と機能解析を行った。光受容細胞を起点とする神経回路については、その全貌をほぼ明らかにすることが出来ている。神経回路の活動イメージング、光遺伝学手法を併用することで当初計画していた、ニューロンの機能解明は順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に挙げていた4つの研究項目①光感覚入力から行動出力に至るまでの神経回路の解析、②光感覚入力に応答するニューロンの活動イメージング、③光感覚入力に応答するニューロンの機能解析、④感覚入力に対して行動異常を示す変異体の単離とその原因遺伝子の解析、のうち①、②、③については順調に進んでいる。今年度からは④感覚入力に異常のある変異体の単離と解析を進めて行く予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究計画はおおむね順調に推移しているが、研究棟の改修工事にともなう引っ越しのために、一部の実験および予算消化に遅れが生じたため。 少し遅れが生じてる変異体スクリーニングに必要な実験試薬、消耗品に使用する。
|
Research Products
(5 results)