2015 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝学的技術を用いたホヤ幼生の光感覚入力から行動出力に至る神経回路の機能解析
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24687008
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
堀江 健生 筑波大学, 生命環境系, 助教 (10455925)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ホヤ / 神経回路 / 光受容細胞 / 行動 / 光遺伝学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、神経系を可視化したトランスジェニック系統や突然変異体の作製などトランスポゾン技術を応用した遺伝学的な技術とニューロンの機能を解析するための光遺伝学的な技術を活用して、光感覚入力から行動出力に至る神経回路についてその全貌を細胞レベル、遺伝子レベルで解明することを目的としている。具体的には以下の4つの実験を行っている。①光感覚入力から行動出力に至るまでの神経回路の解析、②光感覚入力に応答するニューロンの活動イメージング、③光感覚ニューロンに応答するニューロンの機能解析、④感覚入力に対して行動異常を示す変異体の単離とその原因遺伝子の解析。 ホヤ幼生の脳内には2種類の光受容細胞、眼点光受容細胞と眼点外光受容細胞が存在している。それぞれの光受容細胞において経シナプストレーサーを発現させるために、それぞれの光受容細胞に特異的なエンハンサー領域の同定を試みた。光受容細胞に特異的に発現するCi-opsin1のプロモーター/エンハンサー領域の解析を詳細に行った。両方の光受容細胞に特異的なエンハンサー領域を同定することは出来たが、それぞれの光受容細胞を区別するエンハンサーは同定出来なかった。同定した光受容細胞特異的なエンハンサー領域について詳細に検討したところ、Otx結合配列がCi-opsin1の光受容細胞における発現に重要であることが明らかとなった。さらにカタユウレイボヤOtxの機能阻害実験を行ったところCi-opsin1の発現、および光受容細胞の分化は阻害された。 それぞれの光受容細胞においてCa指示蛍光タンパク質を発現させ、Caイメージングを行ったところ、どちらの光受容細胞も可視光刺激により細胞内のCa濃度を低下させた。しかしながら、その応答速度は異なっており、眼点光受容細胞の方が非常に早い応答を示した。このことから光受容細胞は可視光刺激に対して過分極応答を行うことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Ci-opsin1のエンハンサー領域の解析から、2つの光受容細胞を区別してそれぞれを起点とする神経回路とその機能を解析する予定であったが、それぞれを完全に区別するエンハンサー領域はまだ得られていないため、組織学的な解析に関して遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
Ci-opsin1のエンハンサー解析からは、それぞれの光受容細胞を完全に区別するマーカーは得ることは出来なかった。別の研究から、一つ一つの光受容細胞で発現する遺伝子の網羅的な解析を行っており、このデータより得られたそれぞれの光受容細胞に特異的な遺伝子のエンハンサー領域を用いて、それぞれの光受容細胞を起点とする神経回路とその機構の解析を行う。
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Causes of Carryover |
新たな光受容細胞について、特異的なエンハンサー領域の同定、起点とする神経回路の解析、光遺伝学的な手法を用いて機能解析を行うため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記の研究に必要な消耗品などに使用する。
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Research Products
(3 results)