2015 Fiscal Year Annual Research Report
LUBACによる直鎖型ポリユビキチン鎖形成メカニズムの構造的基盤
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24687012
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 裕介 東京大学, 放射光連携研究機構, 助教 (50568061)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | X線結晶構造解析 / ユビキチン / NF-κB |
Outline of Annual Research Achievements |
ユビキチン(Ub)は酵母からヒトまで広く保存されたタンパク質であり、鎖状につながった複数個のUb(Ub鎖)が様々な分子シグナリングにおいて重要であることが明らかになってきている。Ub鎖はUbのLys残基、もしくはN末端Met1残基のアミノ基を用いて形成されるが、どの残基を用いて形成されるかによってUb鎖の構造と機能は大きく異なる。細胞内のエフェクターがどのようにこのUb鎖を見分けているのかは近年大きな注目を集めている。近年、HOIP、HOIL-1L、SHARPINからなるユビキチンリガーゼ複合体「LUBAC」が、UbのN末端を介する直鎖状ポリUb鎖を生成することが明らかとなった。LUBACはTNF-αなどの炎症性サイトカイン刺激に応じてIKKの制御サブユニットであるNEMOを直鎖状ポリUb鎖修飾し、古典的NF-κBシグナル伝達経路を活性化する。 これまでの研究として、Met1結合型ポリUb鎖特異的な合成を行うUbリガーゼ複合体LUBACの結晶構造決定を目指していたが、2013年度海外のグループに先を越され、結晶構造解析によりLUBACのMet1結合型Ub鎖特異的合成メカニズムが明らかとされたため、我々は研究計画の変更を余儀なくされた。 一方、LUBACの研究の過程で得られた酵素を利用することで、これまで大量調製が難しかったLys6結合型、Lys29結合型、Lys33結合型ポリユビキチン鎖の酵素を用いた合成法について実験を行い、これらのUb鎖の大量調製に成功した。さらに、ミトコンドリアの品質管理に関与する脱Ub化酵素であるUSP30がLys6結合型Ub鎖に対して強い活性を持つことを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2013年度、海外のグループによりHOIPとUbの複合体の結晶構造が決定され、LUBACによるMet1結合型Ub鎖特異的な合成メカニズムが明らかとなり、申請者は研究計画の変更を余儀なくされた。しかし、LUBACの研究を通じて調製法を確立していた酵素を利用することで、Lys6結合型、Lys29結合型、Lys33結合型のポリユビキチン鎖の大量合成に成功したため。
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Strategy for Future Research Activity |
2013年度、海外のグループに先を越され、LUBACによるMet1結合型Ub鎖特異的な合成メカニズムが明らかとなったため研究計画を変更する。今年度の推進方策として、LUBACの経路以外でのUb鎖認識メカニズムについての研究を実施する。具体的には、ミトコンドリア品質管理に関わる脱Ub化酵素USP30についてそのUb鎖切断メカニズムを結晶構造から明らかにする。
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Causes of Carryover |
2013年度、海外のグループによりHOIPとUbの複合体の結晶構造が決定され、LUBACによるMet1結合型Ub鎖特異的な合成メカニズムが明らかとなり、申請者は研究計画の変更を余儀なくされたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
現在、実験および論文執筆中であり、論文投稿は平成28年5月以降を予定している。今後の実験として、酵素活性の速度論的解析、および、細胞内での酵素変異体の機能解析を実施する。論文投稿後、6月中旬頃までに返事が帰ってくると考えられ、その後3ヶ月程度の期間で査読者から要求された追加実験、および論文の修正を行う。また、査読者からの要求によっては、さらに追加実験が必要になる可能性も考えられる。その場合最終的な論文の受理は平成28年12月頃になる事が想定されるが、これは順調に進んだ場合の予定であり、実際の論文の評価によってはこれ以降に計画が伸びる事も考えられる。これら実験の試薬、消耗品、論文投稿の費用として使用する。
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