2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24687013
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐藤 毅 大阪大学, たんぱく質研究所, 助教 (90403013)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 受容体型チロシンキナーゼ / 線維芽細胞増殖因子受容体 / 半合成 / 固体NMR |
Research Abstract |
FGFR3の半合成: 計画を立案した当時の平成25年度の目標はFGFR3細胞外領域から膜貫通、細胞質内膜近傍部位に至る蛋白質断片を半合成し、膜貫通-膜近傍部位の構造機能解析を開始することであった。平成24年度の半合成実験において、目的物の生成が確認でき、25年度はその半合成の最適化、上記構造解析を行う予定であった。実際に実験を開始すると、ライゲーションによる半合成条件のスクリーニングを行う際、材料となる細胞外領域断片の大量調製が問題となることが分かった。現在は、半合成反応条件の最適化とともに細胞外領域の大量調製条件の検討も行っている。なお、平成24年度末において問題点となっていた膜貫通-膜近傍領域の大腸菌による大量調製に関しては、収量の増加に成功しており、当該部位の調製に関しては問題はなくなった。 FGFR3膜貫通-細胞質内膜近傍配列ペプチドの脂質二重膜中における構造解析: 半合成受容体を用いた構造解析実験の前段階となる膜貫通-膜近傍配列ペプチドの脂質二重膜中における構造解析は多くの重要な知見を与える。これまで、野生型配列と膜貫通部位に常時活性型の変異を導入したものに関して、それらの構造比較解析を行ったところ、細胞質内膜近傍部位は野生型配列では、膜に結合しているのに対し、変異型では膜から解離することがわかっていた。平成25年度はさらに、この細胞質内膜近傍部位の膜からの解離は、膜貫通部位の脂質二重膜に対する配向に依存することが分かった。すなわち、野生型配列に関しても膜貫通部位が脂質二重膜に対して「立つ」ことによって、細胞質内膜近傍部位は膜から解離することがわかった。膜貫通部位の膜これらの結果に関しては論文としてまとめた。現在、この論文は投稿中であり、査読結果待ちという状態にある
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本申請研究一年目の段階で、FGFR3細胞外から膜貫通、細胞質内膜近傍領域の配列に関して小スケールでの半合成に成功はしていた。次の段階において、スケールアップを試みたが、様々なところで問題が生じた。まず、膜貫通-膜近傍部位合成ブロックに関しての合成化学的調製はほぼ問題なく行うことができているが、当該部位を大腸菌発現系を用いて調製する際、収量が著しく低かった。所望の膜貫通ー膜近傍部位配列は精製、可溶化のための蛋白質断片とともに融合蛋白質として発現させている。問題はこの精製、可溶化のための蛋白質断片を切り離す際の効率にあった。様々なプロテアーゼ並びにその認識配列等を検討した結果、最適化に至った。また、細胞外領域に関しても合成ブロックを大量に調製する上で、収量の増加が期待したほどみられないという問題に直面した。精製中におけるロスに原因があるところまではわかっている。改善法も見出していることから、今後は収量の増加に期待している。H26年度からは技術補佐員を雇用することから、一層のスピードアップが期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の最も大きな成果は、FGFR3膜貫通-膜近傍部位に関して、野生型と常時活性型配列において構造的な違いを見出し、その結果を論文としてまとめたところにある。未発表のデータの蓄積もあることから、さらに詳細な構造解析に関する報告を行うことが可能であり、これが本年度、最初の目標である。 半合成に関しては、新たな技術補佐員の加入により、特に原料調製においてはスピードアップが期待できる。早い段階において細胞外から膜貫通、細胞質内膜近傍領域にいたる受容体断片の半合成を達成する。今年度は蛍光測定、固体NMRによってリガンド結合依存的な細胞質内膜近傍領域の構造変化を捉えることが目標である。一方で全長配列の半合成に向けて、細胞質内領域の発現、精製条件の最適化も行っていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験を行っていくうえで、試薬は古いものから用いていくが、平成25年度は開封済みの試薬から使っていったため、試薬代を節約できた。また、研究計画を立案した当時、平成25年度は技術補佐を予定する予定であったが、この年はその必要がなかった。 研究のラストスパートが必要となる最終年度(平成27年度)に技術補佐員を雇用するために使用する予定である。
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Research Products
(8 results)