2012 Fiscal Year Annual Research Report
新しい翻訳後修飾"ポストリン酸糖鎖"がコードする生物学的情報の解明と病態への関与
Project/Area Number |
24687017
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
金川 基 神戸大学, 大学院・医学研究科, 講師 (00448044)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 糖鎖 / 筋ジストロフィー / 筋再生 / 遺伝子治療 / ジストログリカン / フクチン |
Research Abstract |
本研究は、ポストリン酸糖鎖修飾という、疾患発症にも直結する、新しい翻訳後修飾に着目し、その構造、機序、生理的意義を解明することを目的とする。また、筋幹細胞におけるポストリン酸糖鎖の役割を明らかにすることで初めて理解できる、筋再生や発症のメカニズムに基づき、筋疾患の効果的な治療条件を見出していく。本研究によって、翻訳後修飾という重要な生体内化学反応に新たな原理を追加でき、また、筋ジストロフィーの克服にむけたトランスレーショナル研究に有益な基盤情報が得られる。 本年度は、ポストリン酸糖鎖不全の筋ジストロフィー疾患モデル(フクチンcKOマウス)を作出し、その病態と筋幹細胞機能を解析した。その結果、ポストリン酸糖鎖は、筋細胞膜の健常性の維持に関わることにくわえ、筋前駆細胞の生存性維持と増殖・分化活性に重要であることが新たに明らかとなった。また、糖鎖不全に起因する膜脆弱性が発症の引き金になること、筋前駆細胞活性が病態重篤度に関与することも明らかになった。これら病態機序にもとづき、フクチンcKOマウスへの遺伝子治療を検討したところ、全身性の遺伝子導入によって、筋ジストロフィー発症後においても、十分な治療効果が得られることが示され、糖鎖異常型筋ジストロフィーの治療法開発に重要な基礎的知見を獲得できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
筋ジストロフィー病態と治療について計画どおりの成果が得られ、また、新たな知見も得られつつあり、今後の進展も十分期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
糖鎖構造や修飾機序を解明するための生化学的研究を継続する。また、新たな疾患モデルマウスの作出にも取り組み、筋幹細胞、中枢神経、心筋における糖鎖機能を解明する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
生化学的研究試薬、疾患モデルマウス作出と解析に使用する。
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