2012 Fiscal Year Annual Research Report
DNA-蛋白質ハイブリッドナノシステムの分子配置制御を用いた多分子協調反応の解析
Project/Area Number |
24687018
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
多田隈 尚史 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教 (10339707)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 1分子計測 / ナノマシン / 核酸 / 蛋白質 / 分子モーター |
Research Abstract |
多分子協調反応を解析するために、DNAの2次元ナノ構造物(DNA-tile)上に多数の蛋白質分子を固定しだDNA-蛋白質ハイブリッドナノシステム"を構築し観察を行った。本年度は、キネシンモーター蛋白質とT7-RNAポリメラーゼ(T7-RNApolymerase、以下RNAP)蛋白質をモデル蛋白質として用い、主に、DNA-蛋白質ハイブリッドナノシステムの作成方法の改良と精製方法の確立を目指した。そして、できたDNA-tile-キネシンや、DNA-tile-RNAPを原子力間顕微鏡(AFM)で観察し、また、それらの活性を溶液反応系、及び、蛍光顕微鏡下で測定した。その結果、DNAナノ構造に蛋白質を集積化する過程が改良され、蛋白質のDNA-tileへの結合速度や標識率(DNA-tile上に設計上結合できる最大数に対して、実際に結合した蛋白質の数の割合)が向上した。精製方法に関しても、DNA-tileに結合しなかった蛋白質を効率的に除去できるようになった。続いて、DNA-tile上に結合している、蛋白質の数や蛋白質間距離が、DNA-蛋白質ハイブリッドナノシステムの全体の活性にどのような影響を与えるか検討した。その結果、キネシンでは、DNA-tile上に結合している蛋白質の数が増えるにつれて、連続歩行距離が伸びたが、速度は変わらなかった。この結果は、キネシンにおいては、分子間の協同性はキネシンの酵素活性そのものには影響は与えないものの、分子数が増える事でハイブリッドシステムがレールからの解離しにくくしている事が示唆された。また、RNAPにおいても、DNA-tile上に結合している蛋白質数の増加に伴った、kcat(活性の指標)の上昇は見られなかった。今後より詳細に解析を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、DNAナノ構造上に様々な種類の蛋白質を結合させたナノシステムを構築し、分子間の協調性を探る事を目標としている。初年度は、重要な基盤技術である蛋白質結合法と作成ナノシステムの精製法を確立できた。また、詳細は記述しないが、ナノシステム上に結合させる予定の様々な蛋白質の準備が進んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
引続き、DNAナノ構造上に様々な蛋白質を結合させ、ナノシステムの構築と活性評価を行っていく。そして、多分子協調反応機構の解明に努める。特に、作成するナノシステムでは、分子間距離を自在に制御できるので、蛋白質相互作用における分子間距離の影響の評価や、逆に距離制御による反応制御に注力する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
現在は試験管内におけるナノシステムの反応を観察するが、将来的には、細胞内での活性測定を検討している。特に、遺伝子発現制御を実現し、ips細胞等のような、分化状態に応じて遺伝子発現制御が必要な実験系への応用を期待している。
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Research Products
(6 results)