2012 Fiscal Year Annual Research Report
超解像度顕微鏡で可視化する減数分裂前期の染色体制御機構
Project/Area Number |
24687024
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
CARLTON Peter 京都大学, 物質-細胞統合システム拠点, 助教 (20571813)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 超解像度顕微鏡 / 減数分裂 / 染色体 / 線虫 |
Research Abstract |
本研究の平成25年度への繰り越し科学研究費は、PPH-4.1機能解析のための生化学実験に使用した。PPH-4.1は、高度に保存されたセリン、スレオニンフォスファターゼである。前年度、我々は、pph-4.1のフォスファターゼデッド(点変異)変異株を作成し、それがpph-4.1欠失株と同じ表現型を示すことを明らかにした。このことより、PPH-4.1の減数分裂前期における染色体制御は、その脱リン酸化活性を通して行われることが示唆された。このフォスファターゼの基質を見つけるために、我々は、変異株と野生株のタンパク質抽出液を比較し、変異株でリン酸化が増えたタンパク質を、網羅的に同定するという生化学実験を行った。具体的には、野生株と変異株より集めたタンパク質抽出液を使い、様々なリン酸化修飾特異的な抗体と用いて免疫沈降し、その沈降物を質量分析で同定するというものである。この結果、先行研究で減数分裂前期の染色体制御に重要であると考えられて来た複数の因子のリン酸化量が、pph-4.1変異株で増大することがあきらかになった。これらは、PPH-4.1の基質の候補であるが、まだ直接の基質であるのか、もしくはpph-4.1欠失の二次的効果なのかは不明である。現在は、これらの候補因子が、PPH-4.1により直接脱リン酸化を受けるかどうか、リン酸化、脱リン酸化のタイミングや、それに拮抗するキナーゼとの制御関係を検証している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
生化学実験を補助していた技術員が、平成25年度の妊娠、出産退職したことにより、生化学実験の進行に遅れが生じた。また、質量分析解析には委託先の企業より通常数週間、時間がかかると通知されていたが、ちょうどそれが平成24年度の年度末であり、年度をまたいでの注文、解析結果の納品が制度上不可能であったため、最終的に平成25年度に科学研究費を持ち越し、平成25年度になるのを待ってから解析注文をしたため遅れが生じた。加えて、アメリカの企業に解析委託したため、解析サンプル輸送の法的許可を取得するのに予想外に時間がかかり、解析サンプルの提出がさらに遅れることとなってしまった。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、PPH-4.1, SYP-2とその相互作用因子との関係を、遺伝学的、細胞生物学的に検証し、これら分子の関わる染色体の制御メカニズムを明らかにすることを目指す。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度、1分子顕微鏡のための新しいCMOSカメラを購入することを検討し、複数社のカメラの試用(デモ)を希望していたが、デモ機が他研究室で使用中などの理由から、迅速にカメラの試用テストができなかったことに加え、カメラそのものの納期も時間がかかったため、前年度予算執行期間中に発注できなかった。 前年度より検討していた浜松ホトニクスのCMOSカメラ ORCA Flash 4.0を購入する。また、申請者がドイツでの国際学会「EMBO減数分裂学会」に参加する際の、参加費、旅費などに使用する。
|