2012 Fiscal Year Annual Research Report
フロリゲン活性化複合体の形成メカニズムの解明と開花調節への応用
Project/Area Number |
24688001
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
|
Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
辻 寛之 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教 (40437512)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | フロリゲン / フロリゲン活性化複合体 / イネ / 14-3-3タンパク質 / FD / 花成 |
Research Abstract |
フロリゲンは植物の花芽分化を決定づける因子として約75年前にその存在が提唱され、2007年にその正体がHd3a/FTと呼ばれるタンパク質であることが明らかにされた。Hd3aは葉で発現した後、茎頂メリステムまで長距離移動して花成を開始させる。Hd3aは茎頂の細胞に到達した後、フロリゲン受容体である14-3-3と細胞質で直接結合する。その後Hd3a-14-3-3複合体は核移行し、転写因子OsFD1とさらに高次の転写複合体であるフロリゲン活性化複合体(FAC)を形成して花芽形成遺伝子の転写を開始させると考えられている。FACはフロリゲンの活性本体として花成促進の中心的な機能を担っているが、これが核内に形成されるメカニズムは明らかになっていない。本年度は新規FAC構成タンパク質OsFD2を見出し、その分子機能を詳細に解析した。OsFD2はOsFD1のホモログであり、bZIP型の転写因子である。OsFD2がFACを形成可能かどうか検討するために、酵母two-hybrid法を用いた詳細な相互作用解析を行った。その結果、OsFD2はOsFD1と同様の様式でFACを形成可能であることが明らかとなった。さらに植物細胞内の相互作用を、BiFC法によって解析した。その結果、OsFD2は14-3-3及びHd3aと相互作用可能であることが分かった。BiFCシグナルの細胞内局在を定量的に評価したところ、14-3-3-OsFD2複合体は細胞質に形成されているが、これにさらにHd3aが結合すると核内に局在することが明らかとなった。これらの結果から、OsFD2を含むFACの形成過程として次のようなモデルを提唱した。すなわちOsFD2は当初14-3-3タンパク質によって細胞質にトラップされているが、Hd3aが14-3-3と結合することで複合体が核移行を開始すると考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
フロリゲン活性化複合体の新規構成因子としてOsFD2を見出し、これがFACを形成可能であることを示した。さらにFAC-OsFD2の核移行過程を詳細に解析することで、フロリゲンHd3a自身が複合体形成と核移行を開始させる機能を持っていることを示した。また、OsFD2は核移行するのみでは機能に不十分であり、FAC形成が必須であることも明らかとなった。これらは当初の想定以上の発見であったと考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
OsFD1とOsFD2の間でFACの形成メカニズムが異なる可能性が示唆されている。従って両者の違いを生み出す分子メカニズムの同定を行う。また、FAC-OsFD2の核移行がフロリゲンHd3aによって開始されることを見出したので、Hd3aと14-3-3の相互作用が核移行を開始させるメカニズムの解析を進める。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
未使用額が生じた要因は、研究の進捗状況に合わせて予算執行計画を変更したことに伴うものである。未使用額を合わせた次年度の使用計画では、OsFD1とOsFD2の比較解析における分子生物学、生化学試薬への使用、並びにバイオイメージングに関連する物品のための使用を計画している。
|
Research Products
(16 results)