2012 Fiscal Year Annual Research Report
ヒュウガナツ'西内小夏'の非還元花粉形成機構の解明とそのカンキツ育種への利用
Project/Area Number |
24688003
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
本勝 千歳 宮崎大学, 農学部, 准教授 (30381057)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 園芸学 / 果樹 / カンキツ / 非還元花粉 |
Research Abstract |
ヒュウガナツは強度の自家不和合性を持つ晩生カンキツであるが,その枝変わり品種である'西内小夏'は,自家受粉で結実(自家和合化)し,かつ果実中の種子がしいな(発育不全の小種子)化するという,農業生産上有益かつ重要な形質を獲得している.そしてこれまでの研究から,この現象は'西内小夏'の非還元花粉形成によるものと示唆されている。そこで,本研究ではこの非還元花粉の形成過程についての知見を得ると共に,非還元花粉を利用した新たなカンキツ品種の育成基盤の構築を目的としている.本年度は,個々の花粉を一粒ずつジェノタイピングするために用いるマーカーの選抜ならびにジェノタイピング手法の検討を行った.ジェノタイピング用マーカーにはカンキツで開発されたSSRマーカーの中から'西内小夏'においてヘテロとなっているものを選抜し,現在10種類のマーカーが得られている.また,花粉一粒のジェノタイピングを行うために花粉からのDNA抽出方法を検討した.その結果,花粉を一度培地上で発芽させた後採取してPCR反応に供試したとき,最も高い効率でSSRマーカー領域の増幅が確認された.また,非還元花粉を利用した新たなカンキツ育種のために,'西内小夏'の花粉を普通系ヒュウガナツ,早生系ヒュウガナツおよび'西内小夏'に受粉し,未熟胚の救助培養による三倍体個体の獲得を試みた.本年度はまず救助培養を行う時期および培地に添加するジベレリン濃度の検討を行い,種子親が早生系ヒュウガナツの場合は受粉12週後が,ヒュウガナツおよび'西内小夏'の場合は受粉14週後が最も適しているとの結果を得た.さらに,ジベレリンについては,植え付け時には0.5から1.5μM程度添加することにより発芽率が向上したが,継代時にはジベレリンを添加しないほうが,良好な成長を示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の主目的は,非還元花粉形成機構について知見を得ることと,非還元花粉を利用した新たなカンキツ育種基盤の構築であるが,形成過程解明のためのマーカーを選抜したことと,救助培養により倍数性個体を獲得していることから現在のところ順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
今後については,まず花粉一粒を用いたジェノタイピングの効率を上昇させる.そのために,花粉一粒からのDNA抽出法報並びにPCR条件をさらに検討する.そして,今年度選抜したマーカーを用いた解析を行うことにより,非還元花粉ではどのような遺伝様式によって,対立遺伝子が遺伝するのかを明らかにする.また,引き続き西内小夏'花粉を受粉することにより,西内小夏'由来の様々な倍数性個体を獲得し育成する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
発生した当該助成金は,H24年度に交付された直接経費の約2.8%であり,これは端数として発生したものである.H25年度は新たに交付される研究費と合わせて,物品購入費に充てるよう計画している.
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Research Products
(2 results)