2012 Fiscal Year Annual Research Report
四季咲き性の原因遺伝子からみた栽培バラの遺伝的多様性
Project/Area Number |
24688004
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
河村 耕史 大阪工業大学, 工学部, 准教授 (00595613)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 遺伝子資源 / 開花調節遺伝子 / トランスポゾン / 育種 / 自家不和合性 / 倍数性 / フローサイトメーター |
Research Abstract |
四季咲き性とは年中花芽をつける性質であり、現代の栽培バラの半数以上は四季咲き性を持つ。これは、ほとんどの野生種が春先にのみ花芽をつける一季咲き性であることと対照的である。これまで数千品種におよぶ四季咲き性の栽培バラが育種されてきたが、その原種となった四季咲きバラは単一起源とされており、中国古来の四季咲き栽培バラであるコウシンバラとされている。そして、コウシンバラ由来の四季咲きバラでは、開花期・花序・樹形などの形質が四季咲き性と強く連鎖して遺伝し、四季咲き以外の形質においても互いに類似することが分かっている。そのため、これまでにない新奇形質を持った四季咲きバラを育種するためには、コウシンバラとは起源の異なる四季咲きバラを探索する必要がある。また、コウシンバラの四季咲き性の原因遺伝子であるKSN遺伝子には自家不和合性を制御するS遺伝子が連鎖している。そのため、コウシンバラ由来のKSNをホモで持つ四季咲きバラを効率的に育種するためには、KSNに連鎖したS遺伝子の遺伝子型を決定する必要がある。そこで、本研究は、コウシンバラとは異なる起源を持つ四季咲きバラを探索するため、様々な系統の栽培バラ100品種あまりについて、KSNの遺伝子型と開花様式の対応関係を調査した。その結果、ハマナス、カカヤンバラ、ロサ・モスカータなど、少数の系統群において、コウシンバラ由来のKSNを持たない四季咲きバラが存在することが明らかとなった。一方、KSNに連鎖したS遺伝子の遺伝子型を決定するため、バラのS遺伝子の単離を試みた。バラと近縁なイチゴのゲノムデータベースを参照し、KSN遺伝子が座乗する領域と相同なイチゴゲノムの領域からS遺伝子の候補を複数同定し、これらと相同な候補遺伝子をバラから単離した。現在、これらの候補遺伝子について、発現解析と遺伝子マッピングの手法を使って、S遺伝子として機能していると考えられる遺伝子の同定を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
自家不和合性を制御するS遺伝子の単離を初年度に達成する予定であったが、未だ達成されていない。計画当初に候補として考えていた遺伝子がS遺伝子ではないことが判明したためである。ただし、新しい有力候補となる遺伝子をすでに発見しており、これがS遺伝子に相当するかどうかを確認する作業まで進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
自家不和合性を制御するS遺伝子の単離を行い、その遺伝的多様性の全容を解明するとともに、KSN遺伝子との連鎖状況を検証する。これを達成するために、研究協力者との情報交換を活発に行い、効果的に研究を推進する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
助成金の一部を、年度末に実験試薬を購入するために残していたが、実験の進行上、必要となる試薬が年度内に確定しなかったため、次年度に繰り越した。購入予定であった試薬の種類が確定し次第、繰越金はこれを購入する資金に充て、その他の次年度予算は当初の計画通り運用する。
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