2013 Fiscal Year Annual Research Report
四季咲き性の原因遺伝子からみた栽培バラの遺伝的多様性
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24688004
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
河村 耕史 大阪工業大学, 工学部, 講師 (00595613)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 遺伝的多様性 / 自家不和合性 / トランスポゾン / TERMINAL FLOWER 1 / 四季咲き性 / S遺伝子 |
Research Abstract |
200品種あまりの栽培バラのDNAを採取し、フローサイトメーターで倍数性を検定したのち、KSNの遺伝子型をPCR法で調査した。その結果、ほとんどの四季咲きバラは、KSNにトランスポゾンが挿入されたアレルを持っており、四季咲き性が単一起源に由来するとの仮説を支持する結果が得られた。一方で、少数ながら、KSN遺伝子にトランスポゾンの挿入が無いにもかかわらず、四季咲き性を持つ系統が存在することが明らかになった。このようなバラは、新規の遺伝的起源を持った四季咲きバラとして、新たな育種材料となることが期待される。 KSN遺伝子へのトランスポゾン挿入が無いにもかかわらず、四季咲き性をもつ野生種のひとつについて、KSN遺伝子の塩基配列と発現様式の解析を行った。その結果、塩基配列から予測されるKSNタンパクのアミノ酸配列には、タンパク質の機能に影響を与えるような大きな変化はないと考えられた。また、発現解析の結果から、茎頂のKSNの発現量は、栄養成長と花芽形成の季節的なリズムと相関しており、KSNが花芽分化に関与している可能性が示唆された。 KSNと連鎖した自家不和合性遺伝子座S-locusの遺伝的多様性を明らかにするため、バラのS遺伝子の単離を試みた。バラと近縁でゲノム情報が公開されているイチゴ、モモ、リンゴのS遺伝子の情報を参考に、バラのDNAから候補となる相同な遺伝子を複数単離した。その中から、イチゴのゲノム情報をもとに、KSNと同じ染色体に座乗すると考えられるS遺伝子の候補を複数単離した。これらについて、全長の塩基配列の決定、発現解析、交配による遺伝子型の分離様式をチェックすることで、バラのS遺伝子として機能しているものを特定する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H25年度の研究成果によりバラのS遺伝子の有力候補が複数単離されたため、次年度はこの中から機能的なS遺伝子を特定できると期待している。そうすれば、KSNとS遺伝子との連鎖関係やS遺伝子の遺伝的多様性について明らかにする目的が達成可能になる。
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Strategy for Future Research Activity |
新規の遺伝的起源を持つと考えられる四季咲きバラがいくつか見いだされた。これらの開花習性や遺伝子発現様式を、従来のKSN遺伝子にトランスポゾンが挿入されて生じた四季咲きバラと比較する実験が必要であると考え、温度などの気象条件を制御したインキュベーターでの比較栽培実験などを計画している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究が予定より早く進んだため、3月に予定していた臨時研究補助員の雇用を中止した結果、謝金支出用に残しておいた予算が次年度使用額として残った。 前年度に残った予算(次年度使用額)は、当年度の研究物品費に充てる。
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