2012 Fiscal Year Annual Research Report
アジアの農漁村における防災・復興に関する国際比較研究
Project/Area Number |
24688023
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高篠 仁奈 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教 (80507145)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 農業経済 / 農村社会 / 都市・社会防災 / 経済発展 / 東南アジア |
Research Abstract |
本研究では、東日本大震災を初めとする日本の災害経験と、アジア諸国における災害事例を比較し、特に農林水産業への影響に着目しながら、復旧・復興に関する途上国(あるいは先進国)特有の問題や、経済発展段階・地域社会の固有性に応じた防災・減災政策のあり方を明らかにすることを目指す。 具体的には、災害による経済ショックへの対応と共同体、組織の役割という視点から日本と途上国の事例を比較し、(1)災害直後の経済ショックの緩和に農漁村の伝統的な相互扶助システムはどう機能したか、(2)防災・復興時に農漁村の共同体や社会関係資本、NGOはどのような役割を果たしたか、(3)住民の避難・移動により共同体はどのように崩壊・再構築するのか、といった課題について回答を求める。 2012年度は、主に途上国における事例について、以下2つのテーマについて調査研究を実施した。 1.バングラデシュ南西部の災害多発地帯における予備調査 2.インドネシア、シドアルジョ泥流災害による移転と金融の役割 バングラデシュでの調査では、サイクロンの被害を受けた地域における調査の実施に向けて、現地NGOとのネットワーク形成を行った。現地での聞き取りからは、農業の復旧においてエビ養殖が稲作などと比べて早期に生産を行っていたことや、復旧・復興におけるNGOの役割が大きいことが確認された。インドネシアの調査では、シドアルジョ地域における被災企業向けの融資プログラムや、中小企業の移転状況に関する情報を収集した。得られた情報を分析し論文にとりまとめる予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,予定通りインドネシアの泥流災害について調査を行い、十分な情報・データを収集を行った。申請段階では、インドネシアで他の事例について調査を行うことを想定していたが、調査の実施可能性から、バングラデシュでの事例に変更した。この変更は研究の目的に合致しており、達成度に遅れは生じていない。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度は、昨年度調査を行ったバングラデシュ南西部の事例とシドアルジョ泥流災害との2事例について調査研究を継続するとともに、日本国内の類似事例について文献調査を行い、比較を行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
申請段階では調査で地理情報(GIS)を収集するために現地で使用するパソコンを購入予定であったが、調査の内容を変更し次年度の調査で実施することとした。そのため、パソコン購入に関わる経費を次年度使用額に計上している。それ以外は当初の計画通り、調査に関わる旅費と謝金を中心に使用する。
|