2012 Fiscal Year Annual Research Report
真核微生物P450の高機能化とタンパク質ライブラリの構築
Project/Area Number |
24688034
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
一瀬 博文 九州大学, 農学研究院, 助教 (00432948)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | シトクロムP450 / 異種発現 / タンパク質 |
Research Abstract |
1.真核微生物シトクロムP450の異種発現系構築 木材不朽担子菌(Phanerochaete chrysosporium, Postia placenta)および麹菌(Aspergillus oryzae)に由来する425種類のP450遺伝子のN末端領域を改変して大腸菌異種発現ベクターを構築した。本年度は、担子菌に由来する304種類の異種発現に挑戦し、大腸菌細胞内に高発現する27種類の分子種を同定することに成功した。また、大腸菌細胞内に発現可能であった分子種のN末端領域を他の分子種と置換したところ、野生型配列では発現が困難であった分子種も効率良く異種発現させることが可能であった。本年度得られた成果は、多くの真核生物P450を大腸菌内で高発現させるための基盤技術として大きな意義を持つ。また、本研究により得られた成果は、動物・植物・微生物など多岐にわたるP450異種高発現を可能とし、様々な研究領域の活性化に繋がる。本研究の成果を基に機能解析・構造解析が促進されることも期待され、P450の配列-構造-機能の関係を深く理解することで、生物機能の高度理解と利用が可能になる。 2.真核微生物シトクロムP450の機能強化 麹菌(Aspergillus oryzae)に由来するP450の中からイソフラボンに活性を示す分子種を選抜し、遺伝子変異導入を施して機能改変酵素の創出を試みた。変異体を酵母に異種発現させて約1000種類の変異体を獲得し、フラボノイドに対する活性を網羅的に追跡したところ、天然型酵素とは異なる基質特異性を示す酵素が選抜された。本酵素は、高抗酸化活性を有するフラボノイド生産に向けた有用変異体であり、【研究-1】により得られた大腸菌異種発現技術を応用することで、安価な有用フラボノイド生産技術の開発にもつながると予想される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本プロジェクトの最終到達目標は、全ての真核微生物シトクロムP450を高発現するライブラリーを構築するとともに、機能強化P450を創出する点に有る。本年度は、異種発現を可能とする基礎的知見の獲得に成功しており、これらを活用することで研究目標に大きく近づくと考えている。また、P450機能改変も順調に進行しており、さらなる機能強化が期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
大腸菌細胞内に高発現する27種類の担子菌P450から、大腸菌発現系に最も適したN末端配列を決定する。本知見を基に、全ての真核微生物P450のN末端配列を改変し、異種高発現システムを完成させる。また、機能強化P450の大腸菌発現システムを構築して、バイオブロセスへの展開を図る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
大腸菌細胞内におけるP450発現レベル向上を目指してN末端配列の影響を検討してきた。一連の過程において、最適N末端配列と分子種ファミリーの相関が見いだされつつある。本結果を踏まえ、当初計画を変更して小スケールでのモデル実験を優先的に行ったため当該助成金が発生した。当該助成金は、モデル実験の結果を反映させた網羅的異種発現実験の為に使用する。
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Research Products
(8 results)