2012 Fiscal Year Annual Research Report
π結合の連続活性化を基軸とする革新的分子変換法の開発と創薬リードの創出
Project/Area Number |
24689001
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大野 浩章 京都大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (30322192)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 多重結合 / 連続反応 / 全合成 / 化合物ライブラリー / アルカロイド / 薬らしさ / キノカルシン / 金触媒 |
Research Abstract |
近年、コンビナトリアルケミストリーとハイスループットスクリーニングの発展により、大量の化合物を一挙に合成しアッセイすることが可能になった。一方、ヒット化合物を見出す上で、単純な組成の化合物を網羅的に合成することが必ずしも効率的でないことが明らかになるにつれて、ドラッグライクな天然物型複素環化合物の重要性が再認識されている。従って、ドラッグライクな天然物型複素環化合物を多連続反応により一挙に構築し、多様性指向型合成に展開することが可能となれば、ヒット率の高い化合物ライブラリーを構築する上で有用な方法論となる。報告者は、天然物型ドラッグライク化合物をリードとする創薬シードを創出するための基礎的知見を得ることを目的として、平成24年度にキノカルシンの不斉全合成研究を実施した。 報告者は平成24年度中に、(1) 独自に開発したブロモアレンの分子内アミノ化反応を利用したピロリジンユニットのシス選択的合成、(2) 基質へのベンゾフラン構造の導入による分子内ヒドロアミノ化の位置選択性制御、(3) ルイス酸を用いたベンゾフランの開環反応の開発に成功し、キノカルシンの不斉全合成を達成した。 平成25年度、報告者はヒドロアミノ化反応に固相担持した基質等を用いることで位置選択性の改善できる可能性があると考え、詳細な検討を行った。その結果、固相担持型基質、および環状アルキン型基質のいずれを用いても、残念ながら6-エンド選択性の向上は見られなかった。これらの結果を受けて、キノカルシンの改良合成法の開発を断念し、次のターゲットであるスピロインドール、laurendecumallene B、aspidophylline Aの合成研究を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度に当初予定していたキノカルシンの全合成を達成した。 引き続く平成25年度の繰越予定期間中にキノカルシンの改良合成法の開拓に関する検討を完了し、引き続きパラジウム触媒を用いたスピロインドールの合成と、Laurencia属環状エーテル骨格の構築に成功したため。
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Strategy for Future Research Activity |
Aspidophylline Aの不斉全合成研究に関するこれまでの検討の結果、複数のアルキン部位を有する環化前駆体を用いた金触媒連続環化反応は制御が困難であることが明らかになりつつある。今後はエンイン型環化前駆体を用いた金触媒反応の検討を行うとともに、パラジウム触媒を用いた連続環化反応による中心骨格一挙構築法の実現を目指す。その他、apparicineおよびcommunesin骨格の構築も併せて検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は合成経路を開拓するためのモデル実験を含め、簡単な化合物を少量用いた基礎的検討を中心に研究を遂行したため、次年度使用額が生じた。 【物品費】出発原料となるグリシドール、アルキン系化合物、およびインドール系化合物や、多連続反応の触媒となる金錯体、銀塩の他、シリカゲル、溶媒、ガラス器具を購入する予定である。 【旅費】情報収集および研究成果発表を目的とした学会参加に充当する。 【人件費・謝金、その他】データ整理を依頼するための謝金、機器修理費用、分析依頼料に充当する。
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Research Products
(21 results)