2013 Fiscal Year Annual Research Report
3本鎖DNA形成可能な人工核酸を基盤とした遺伝子標的アンチジーン核酸医薬創製研究
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24689006
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
谷口 陽祐 九州大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (00452714)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 3本鎖DNA形成オリゴヌクレオチド / 核酸化学 / 人工核酸 |
Research Abstract |
近年、疾病の原因となる異常遺伝子を標的にした創薬として核酸医薬の開発研究が行われ、多様な機能をもつRNAを標的とする創薬が注目を集め、臨床応用に向け活発な研究が展開されている。一方、RNA調節機構は複雑に相互関連していることから、RNA制御の根幹となるDNAを標的とした創薬の重要性が再認識されると考えられる。申請者はすでに、2本鎖DNA標的に配列特異的に3本鎖DNAを形成する独自の人工核酸を創製してきた。本研究では、3本鎖DNA技術を創薬として展開するための基盤として、化学的検討により、より効果的な人工核酸の開発を検討し、さらに、3本鎖形成による遺伝子発現制御法を確立し、新たな核酸医薬の基盤構築を目指している。 本年度では、クリック反応に適応可能な人工核酸の創製に成功し、種々の2本鎖DNAと相互作用可能な分子を容易に導入する事に成功した。修飾は5’末端でも可能な事から、3’末端、5’末端の修飾や鎖の内部の修飾にも成功した。中でもピレンを導入した分子を用いることで、天然型の3本鎖形成オリゴヌクレオチドよりも安定な3本鎖DNA形成可能なオリゴヌクレオチドの創製に成功した。今後は、細胞に導入しアンチジーン効果を試す予定である。一方、配列依存性を克服した3本鎖DNA形成可能な人工核酸の創製では、新たなプラットフォーム分子である5メチルイソシチジン骨格を見いだし、誘導体化することにより、安定性は若干不満足であるが世界で初めて前後の配列に影響を受けずにCG塩基対(3本鎖形成障害部位)を認識可能な人工核酸の創製に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに、本研究の目的を達成可能であると期待される、プラットフォーム分子を見いだすことに成功しており、残りの研究期間内でさらなる発展が予想されるため、研究はおおむね順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は計画どおり順調に進行しており、申請内容に沿って研究計画を遂行していく。特に、3本鎖DNA形成安定化分子を見いだしたので、これを用いた細胞導入によるアンチジーン法への展開を順次行っていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
一昨年度より繰り越した経費を消耗品等の物品を購入予定であったが、当初予定していたよりも研究が順調に進行し試薬等の購入費が控えられたため。また、旅費に関して比較的近場での学会参加や、研究に参画してもらっている大学院生の独自の研究費獲得などにより、次年度使用額が生じた。 計画自体に変更点は予定していないが、細胞アッセイ等は有機合成よりも比較的費用がかさむ。また、より質の高い研究結果を得るための高価なキットなどの購入を予定している。
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