2012 Fiscal Year Annual Research Report
異物解毒分子の活性に根差した医薬品のバイオアベイラビリティの定量的予測
Project/Area Number |
24689009
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
前田 和哉 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 講師 (00345258)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | バイオアベイラビリティ / 消化管吸収 / 肝初回通過 / トランスポーター / 数理モデル |
Research Abstract |
本研究では、ヒトにおける医薬品のバイオアベイラビリティの定量的な予測につなげるための実験系の確立ならびに数理モデルの構築、それらを用いたin silicoシミュレーションによる薬物動態関連分子の機能変動時の体内動態の変化を予測することを目的とした研究を進めている。 本年度は、まず、ヒト小腸に発現し、医薬品の吸収を抑制するCYP3A4, P-glycoprotein(P-gp)の定量的な役割を示すことを目的として、消化管吸収予測モデル(ACAT model)を構築し、in vitro実験において、Caco-2細胞での化合物の膜透過性、リコンビナントCYP3A4酵素における代謝の速度論的パラメータを算出した。これらのパラメータをモデルに反映させる際に、in vitroデータとin vivoでの発現量を結びつけるscaling factorを、複数のCYP3A4,P-gpならびにその両方の基質薬物の吸収率を最もよく説明できるように最適化を行うことに成功した。また、このscalingfactorを用いて、医薬品の投与量依存的な消化管吸収の非線形性について検討したところ、このモデルをそのまま用いることで、quinidine, verapamilのマイクロドースから臨床投与量に至るまでの非線形性についても良好に予測することができた。さらに、同じ吸収の非線形性を持った吸収であっても、quinidineは、主にP-gpの飽和に寄与するが、verapamilについては、P-gp,CYP3A4両方の飽和が寄与するなど、関わっている分子の相対的な重要性が異なることを定量的に示すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の年次計画にある、ヒト消化管における医薬品の吸収率の予測のための基本的なモデル構築ならびにパラメータ設定法について、一通り検証まで終えることができ、また肝細胞内濃度の予測法の確立やUssingchamber法による吸収予測実験法の確立もできたので、予定通りの進捗と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も、年次計画に従い、ヒト・サル等高等動物における消化管吸収性をUssing chamber法を用いて検討するとともに、新規トランスポーターの機能解析を含め、消化管吸収の分子実態を明らかにしていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初、Ussing chamber法による吸収実験の規模をより拡充するために準備していた拡散チャンバーの生産が予定より時間がかかったことがあって、本年度は、より加速度的に進めるための環境を早急に整え、当初の計画に従った使用を行っていく予定である。
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Research Products
(16 results)