2012 Fiscal Year Annual Research Report
バゾプレッシンV1a受容体遺伝子と運動習慣の定着率:その作用機序と環境因子の影響
Project/Area Number |
24689014
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
増木 静江 信州大学, 医学系研究科, 助教 (70422699)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 自発運動 / 血圧反射 / 脳波 / vasopressin V1a 受容体 / 運動習慣 |
Research Abstract |
最近、我々は、vasopressin Vla受容体遺伝子欠損マウスでは、大脳皮質活動上昇に伴う運動開始時の昇圧反応が起きず、自発運動が著しく阻害されていることを発見した。本研究の目的は、1)マウスを用いて、その作用機序と大脳皮質活動上昇の生理的意義を明らかにすること、2)マウスで得られた結果が、ヒトでも起きるか、を検証することである。 1)脳内のどの部位のVla受容体が大脳皮質活動→血圧反射抑制→昇圧反応→自発運動開始の一連の反応に関与しているかを明らかにするため、正常マウスの延髄孤束核にVla受容体阻害剤を投与し、一連の反応を連続測定した。その結果、同マウスにおいても、Vla受容体遺伝子欠損マウスと同様、大脳皮質活動が上昇しても、血圧反射が抑制されず、自発運動が開始されないことを発見した。すなわち、延髄孤束核のVla受容体が運動開始時の昇圧応答に関与することを初めて明らかにした。 それでは、この大脳皮質活動上昇は何を意味するのであろうか。我々は、この大脳皮質活動の上昇が実際の運動開始よりも、30秒も先行して起きることから、これは食欲などを満たすための「動機づけ行動」につながる大脳皮質活動ではないか、と考えた。そこで、マウスを絶食させ、食欲という「動機付け」を高めたときの大脳皮質活動上昇に始まる一連の反応を連続測定し、それをVla受容体欠損と正常マウスで比較した。その結果、正常マウスでは、絶食させ食欲が亢進した時、大脳皮質活動上昇→血圧反射抑制→昇圧反応→餌の探索行動の連関が亢進したのに対して、Vla受容体欠損マウスではこれらの連関が阻害されていることを明らかにした。すなわち、大脳皮質活動上昇に続いて起こる血圧反射の抑制、自発運動は、生理的欲求を満たすための動機づけ行動に関連していること、この反応はVla受容体を介することが示唆された。 2)上記をヒトにおいても検証するため、ヒト大脳皮質活動と血圧反射を連続測定する準備を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
V1a遺伝子欠損マウスのデータからは、脳内のどの部位のV1a受容体が運動開始時の昇圧応答に関与しているか、は不明であった。我々は、正常マウスの延髄孤束核にV1a受容体阻害剤を投与し、V1a遺伝子欠損マウスと同様の反応が起きることを発見した。すなわち、延髄孤束核のV1a受容体が運動開始時の昇圧応答に関与する、という作用機序を初めて明らかにし、さらに、その生理的意義についても明らかにした。また、ヒト大脳皮質活動と血圧反射を連続測定する準備を進めた.このようにおおむね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
これまで我々がマウスで明らかにした大脳皮質活動→圧反射抑制→昇圧反応→自発運動開始の一連の反応が、ヒトV1a受容体遺伝子多型にもあてはまるか、さらにそれが適切な介入によって改善するか、を実験室とフィールドで検証し、さらにそれらの結果をマウスで確認する。また、当初ヒトで計画していた、フィールドでの日常活動時のbeat by beatの連続血圧測定は、測定装置の性能を検討した結果、予定を変更し実験室にフォーカスを絞って実施する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験室において自発運動開始時の中枢性昇圧応答を詳細に検討するため購入した装置が、当初購入を予定していたものより安価であったため、次年度使用額が生じた。したがって、この使用額と翌年度の研究費を合わせ、ヒト自発運動開始時の中枢性昇圧応答の検討、および、マウスを用いたメカニズムの解明、体質の改善方法の開発に用いる。.
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Research Products
(5 results)