2012 Fiscal Year Annual Research Report
DNAメチル化によるT細胞系列への運命制御機構の解明
Project/Area Number |
24689042
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
伊川 友活 独立行政法人理化学研究所, 免疫器官形成研究グループ, 上級研究員 (60450392)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | T細胞分化 / 運命決定 / Np95 / エピジェネティクス / DNAメチル化 |
Research Abstract |
細胞の分化・系列決定過程における系列状態の維持にはクロマチンの修飾やDNAのメチル化などのエピジェネティック制御機構が深く関与している。我々は最近、DNAのメチル化に重要な働きをするNp95がT細胞分化に必須であることを見いだした。そこで本研究では、Np95のT細胞分化における役割を解析することによって、T細胞系列への運命決定・維持にNp95を含めたDNAメチル化修飾がどのように関わっているのかを明らかにすることを目的とする。 本年度は研究計画に基づき、Np95欠損マウスのT細胞分化の解析、およびNp95標的遺伝子のスクリーニングを行った。 胸腺細胞各分画におけるNp95のmRNAの発現パターンを調べたところ、CD4-CD8-(DN)→CD4+CD8+(DP)→CD4+CD8-(CD4SPIあるいはCD4-CD8+(CD8SP}と分化が進むにつれて発現が減少することが明らかとなった。DNの中でも特にDN3とDN4でNp95の発現が高いことから、T細胞系列への決定およびその運命維持に重要な働きをしていることが示唆された。そこで、Np95のT細胞分化における標的遺伝子を調べるために、LckCre-Np95fl/flマウスおよびコントロールのNp95fI/fIマウス胸腺からDN3細胞をソーティングし、RNA-seqを行った。その結果.Gfi1b,IRF7,IRF9などの発現が有意に上昇していた。DNAメチル化の減少によって異所性にこれらの遺伝子発現が誘導されることにより、T細胞分化が傷害されると考えられた。さらにDnmt1とNp95のDKOマウスの胸腺細胞を解析したところ、それぞれ単独のKOマウスよりも更に丁細胞分化が停滞していた。このことはDnmt1とNp95が協調して丁細胞分化を促進していることを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究計画にある、Np95欠損マウス胸腺の解析、および網羅的な遺伝子発現解析(RNA-seq)を予定通り行った。このRNA-seq解析により、Np95の標的遺伝子の候補が明らかとなり、Np95によるT細胞分化制御機構が明らかになりつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
研究はほぼ実験計画通りに進んでいる。今後は論文にまとめることを念頭に必要な実験を行なっていきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度は研究室の共同使用試薬を用いることができたことで予想より試薬類の購入費が少なくなったので、次年度に合わせて使用することにした。次年度の研究費は予定通り、主に物品費や消耗品費として使用する予定である。
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Research Products
(8 results)