2013 Fiscal Year Annual Research Report
微小環境から見た皮膚がんの発症、進展に関わる糖鎖機能の解析
Project/Area Number |
24689045
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
寺尾 美香 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任研究員(常勤) (40570669)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 糖転移酵素 / GnT-V / 皮膚がん / 皮膚硬化 / 強皮症 / 線維芽細胞 / M1マクロファージ / M2マクロファージ |
Research Abstract |
細胞膜に局在するタンパク質や脂質のほとんどは、糖鎖修飾を受けてその機能を獲得する。なかでもN-Acetylglucosaminyltransferase-V (GnT-V) は発がん・がんの転移時に上昇してくることが知られており、がんと関連の深い糖転移酵素である。我々はがんの微小環境におけるGnT-Vの役割を解析するために、N-アセチルグルコサミン転移酵素-V(GnT-V)ノックアウトマウス(GnT-V KO)を用いて解析した。近年、がんに浸潤してくるマクロファージ:Tumor Associated Macrophage (TAM) はM2マクロファージの性質を持ち、がんに対する免疫を抑制し、浸潤・転移に有利な環境を作っていることが報告されている。前年度はマクロファージにおけるGnT-Vの役割をマクロファージのM1、M2分化を中心に検討し、GnT-VはマクロファージのM2活性化にとって重要であることがわかった。よって、本年度はM2マクロファージが病態形成に重要である強皮症モデルとメラノーマモデルにおいてin vivo実験を行なった。 まず、強皮症モデルであるが、ブレオマイシン(BLM)誘導性強皮症モデルを用いた。はじめにC57BL/6バックのGnT-V KOモデルで行なったが、毛周期に影響をうけ、安定した結果が得られなかったために、かねてより作成していたHr-/-ヘアレスバックのGnT-V KOに変更した。結果、GnT-V KOマウスはBLM誘導性強皮症に抵抗性であることがわかった。さらに、硬化皮膚へのCD163陽性のM2マクロファージの浸潤もGnT-V KOマウスでは低下していることがわかった。次に、F10メラノーマの移植実験を開始した。100万個のメラノーマ細胞をマウス背部皮膚に皮下注射し、腫瘍の体積の測定と浸潤細胞を現在解析中である。当該年度の結果より、GnT-Vはin vivoにおいても、M2マクロファージが重要な役割を占める疾患において、病態形成に関与している可能性が考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はM2マクロファージにおけるGnT-Vの役割をin vivoで解析した。予定していたマウスでよい結果が得られず、マウスのバックグランドの変更などを行なった結果、興味深い結果が得られており、実験は概ね予定通りに進行している。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度、GnT-Vの役割をin vivoで解析し始めて、強皮症における役割を見出すことができたが、本題のがん微小環境における役割を現在解析中である。今後はメラノーマ移植実験の結果をそろえ、報告できるようにしたい。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H25年度はH24年度に得られたマクロファージのin vitroにおける再現実験などを繰り返しており、新たな抗体の購入や大規模なマウスの購入が少なかったために、次年度使用額が生じたが、計画はおおむね予定通りに進んでいる。 H26年度はノックアウトマウスを用いたin vivoでの実験を中心に行うために、マウスの購入費、飼育費、細胞培養関連(培地、細胞、シャーレなど)、RT-PCR関連(RT試薬、RT-PCR試薬、プライマーなど)解析抗体(CD163,CD68,iNOS,アルギナーゼなど)、ウエスタンブロット関連試薬(発色用ECLPlus、メンブレン、ゲル、マーカーなど)、結果発表に伴う費用(学会発表、論文投稿費)を中心とした使用を計画している。
|