2013 Fiscal Year Annual Research Report
変形性関節症における新規関節内コミュニケーション因子としての分泌マイクロRNA
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24689057
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
味八木 茂 広島大学, 大学病院, 講師 (10392490)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 関節病態 / 変形性関節症 / 軟骨 / マイクロRNA |
Research Abstract |
25年度は、1. 変形性関節症(OA)様滑膜細胞由来のエクソソームは、正常滑膜細胞に比べてその分泌数を増加させ、軟骨細胞におけるOA関連遺伝子の発現を増加および軟骨基質遺伝子の発現を減少させた。また、このエクソソーム中の炎症性サイトカイン IL-6や血管新生因子VEGFは、培養上清中に比べ有意に低濃度であるにも関わらず、OA様のエクソソームは血管内皮細胞の活性を増加させ血管新生を促進することを明らかにした。そして、正常滑膜細胞に比べてOA様滑膜細胞より分泌されるmiRNAは、11種類増加し、39種類が減少しており、正常細胞とは異なる種類や発現量であった。以上の結果より、OA様滑膜細胞由来のエクソソームは、OA様の変化を引き起こす因子であることが明らかになり、現在論文投稿中である。2. CD9およびCD9/81 KOマウス由来軟骨細胞は、エクソソームマーカーの発現低下を示すことより、CD9 KOマウスではエクソソームの分泌が低下していることが示唆された。そこで、CD9 KOマウスにおけるOA発症への影響を検討した。CD9 KOによる加齢性(12ヶ月齢まで)の関節軟骨の変化は野生型と比べ違いは見られなかった。また、靭帯切除および一過性炎症誘導によるOA誘導モデルを用いた解析を行った結果、CD9KOマウスは、靭帯切除モデルでは野生型と比較して同程度のOAが誘導されたが、炎症モデルでは滑膜増殖や軟骨変性が抑制される傾向にあった。3. エクソソームを用いた治療への応用として、MSC由来のエクソソームが筋再生を促進すること(投稿中)、目的miRNAを豊富に導入したエクソソームは、目的miRNAの細胞への導入効果が高まり、そして機能することを報告した(BBRC 2014)。これら一連の研究は、分泌miRNAのOA発症の新たなメカニズムの解明と治療への応用につながると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでヒト滑膜および軟骨細胞を用いたin vitro 研究、そして、CD9ノックアウトマウスを用いた変形性関節症モデルの解析も計画通りに進行している。また、エクソソームを用いた治療への応用研究の基盤となる技術も論文に報告したことから、CD9/81ダブルノックアウトマウスの繁殖が思うように進まず変形性関節症モデルの作製・解析に着手できていないが、全体として概ね計画通りに進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究として、1. OA様滑膜細胞より分泌されていたmiRNAについての解析を進める 2. CD9/81ダブルノックアウトマウスを用いたエクソソーム分泌への影響を明らかにし、OA発症とエクソソームの関係について明らかにする。3. 軟骨恒常性維持に関わるmiRNAを豊富に含んだエクソソームを作成し、マウスOAモデルへの関節投与により治療効果を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
CD9/81KOマウスの繁殖が予定より遅れたため 消耗品およびマウス飼育費用に用いる
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