2013 Fiscal Year Annual Research Report
細胞競合現象に基づく上咽頭癌発癌機構の解析と新規治療法の開発
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24689064
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
近藤 悟 金沢大学, 大学病院, 助教 (70436822)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 細胞競合 / 発がん / 上咽頭がん / EBV / 癌幹細胞 |
Research Abstract |
平成25年度には、平成24年度に作成した「正常上咽頭細胞」、「EBV感染前-前癌細胞」、「EBV感染-前癌細胞」、「EBV感染-癌細胞」の各モデル細胞を用いて、タイムラプス顕微鏡下に実際に細胞競合が起こるか否かを検討した。「正常上咽頭細胞」と「EBV感染-癌細胞」の間において、細胞競合現象においてかなりの頻度で起きていることが判明した。上咽頭細胞であるAdAH細胞、ならびにMDCK細胞を用いて実験を行ったところほぼ同様の実験を再現することができた。 ガラスディッシュ上で、上記細胞を混合後24時間共培養後、細胞競合現象が生じている事を顕微鏡下に確認後細胞をパラホルムアルデヒドにて固定後、細胞競合の一つのマーカーであるSparcを蛍光免疫染色を行った。 通常はSparc染色されてこない「正常上咽頭細胞」が「EBV感染ー癌細胞」との共培養によって強く染色されることが分かった。また、Sparcによって誘導される関連した下流の分子も染色されてくることが判明した。 また、共培養後の細胞を、GFPをマーカーにしてフローサイトメーターで細胞分取しSparcの発現に変化があるかをリアルタイムPCRを用いて検討を行った。今回の検討ではセルソーティングによる細胞ダメージが大きく出てしまったためか、十分な有意差を持ってSparcの発現に有意差は認めなかった。今後はセルソーティング中の細胞ダメージを減らすようにして更に解析を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、前年度に樹立した細胞を用いてタイムラプス顕微鏡下における観察まで行うことができ、おおむね当初の計画通りに研究は進んでいる。また、この現象に関連する分子についてある程度同定するまでに至った。
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Strategy for Future Research Activity |
樹立した細胞株を用いて、実際の細胞競合現象が起こるかタイムラプス顕微鏡下に観察すること継続する。上咽頭癌病理組織における「細胞競合」関連分子の病理学的解析を行う。また、樹立した細胞をソーティングしリアルタイムPCRならびにwestern blottingにて発現分子の解析を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
自動回転式ミクロトームを平成25年度に前倒し請求を行い導入したが、予定より早期の段階で、本実験に関連する「細胞競合」分子を同定できたため、当初の予定より少ない物品で実験を完遂することができ、未使用額が生じた。 平成26年度の計画は、引き続き上咽頭病理組織標本上における「細胞競合」関連分子の病理学的解析であり、既に分子生物学的に判明した「細胞競合」関連分子の免疫組織額的解析の実験遂行のため使用予定である。
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