2012 Fiscal Year Research-status Report
モノづくりのまちにおける中小企業事業場の健康づくり活動の在り方に関する研究
Project/Area Number |
24689078
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
津野 陽子 東邦大学, 看護学部, 助教 (50584009)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 産業保健 / 健康政策 / 地域看護 / 労働衛生 / 健康社会学 / 健康経営 / 中小企業 |
Research Abstract |
東京都大田区は高度な技術集積地として国内外で評価され注目されている。中小企業事業者が【モノづくりのまち大田」としてネットワークを作り、ブランド化している。大田区は、従業者9人以下の企業が約82%を占めている。一方で、職域の健康課題として指摘されているメンタルヘルスの問題や外国人労働者が多いこと、従業員が高齢化してきているなど中小企業特有の課題も抱えていることが指摘されている。大田区において具体的にどのような健康課題を抱えているか、どのような健康ニーズがあるかは分かっていない。経営者が、従業員の安全・健康を守ることは、生産性の向上につながり、さらには企業の利益につながるとの意識を持って、職場の健康づくりを推進することが望まれる。 本研究では、モノづくりのまちには、どのような健康問題やニーズがあるかインタビューとアンケート調査により実態を把握し、健康支援の必要性と、中小企業が主体的に取り組んだり、継続的に取り組むことができる健康づくり活動の在り方を検討することを目的としている。 地域特性、企業規模や職種などの特性に合わせた健康づくりが求められるため、アンケート調査に先駆け、文献レビューおよびインタビュー調査を行った。インタビュー調査は、大田区内の事業主5名を対象に、大田区の地域特性や健康づくりの現状、健康ニーズなどについてヒアリングした。今後、これらの結果を基に、実態把握のためのアンケート調査票を作成し、大田区内の中小企業約3,000事業場への配票調査を実施する予定である。実態把握の結果と社会資源の状況をもとに、東京商工会議所大田支部や当事者である事業主とともに実行可能性のある健康づくり活動を検討していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の計画は、(1)系統的文献レビュー、(2)事業主へのインタビュー、(3)アンケート調査票の作成を実施予定であった。 (1)系統的文献レビューは、多数の産業保健に関する先行研究の中から、中小企業の健康課題や健康ニーズ、業種や従業員規模による違い、健康支援の在り方に関する結果について文献レビューを行い、先行研究で得られている知見、データを整理した。この結果を基に、事業主へのインタビュー項目を決定した。 (2)事業主へのインタビューは、東京商工会議所大田支部から紹介を受け、大田区内の中小企業の事業主5人にインタビューを実施した。大田区の特徴である製造業(機械金属工業とその他)、および従業員規模(50人未満、50人以上)を考慮し、インタビューを実施し有益な結果を得た。 (3)アンケート調査票の作成までを当初予定していたが、事業主へのインタビュー時期が1月から3月となり、平成24年度ではインタビュー結果のまとめまでとなった。インタビュー結果のアンケート調査項目への反映は、次年度にかけて実施している。 東京商工会議所大田支部と話し合い、協力を得ながら研究を遂行しており、次年度の研究遂行予定も共有しており、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、(1)アンケート調査項目の作成、アンケートの実施、結果の分析、(2)社会資源となる関係機関へのインタビュー、(3)事業主との勉強会を開催し、健康づくり活動の内容を検討していく。さらに、中小企業の健康づくりについては、海外においても研究は多くはないことから、国内外での学会発表および論文執筆により研究成果を発信していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度に予定していた中小企業事業主をメンバーとした研究会議を次年度に開催することとなった。そのため、研究会開催にかかわる会議費と研究会出席謝礼、会議用プロジェクター購入費用などが繰り越しとなった。 また、アンケート調査結果を分析する統計ソフトを実際にアンケート結果を分析する次年度に購入予定としたため、繰り越し金が出ている。 次年度は、繰越金は、予定していた使用目的に当て、平成25年度分は、約3000事業所を対象としたアンケート調査の実施、結果の入力・分析費用、研究成果の学会等での発信するための費用として使用することを計画している。
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