2013 Fiscal Year Research-status Report
ロバストなネットワーク設計のためのグラフ論的アプローチとその一般化に関する研究
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24700001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
石井 利昌 北海道大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (30324487)
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Keywords | 組合せ最適化 / アルゴリズム / ネットワーク設計 / グラフ理論 |
Research Abstract |
本研究では,主にロバストなネットワーク制御・設計が求められる問題を対象に,グラフを用いた離散最適化問題としての定式化及び効率的なアルゴリズムの構築という立場から研究を進める.さらに手法の一般化を行うことで,ネットワーク問題にとどまらない一般の離散最適化題への貢献を目指す.2013年度に得られた主な結果は以下の通りである. ・無向グラフG =(V, E) と要求関数 d: V --> Z_+ (Z_+は非負整数集合を表す) が与えられたとき,各点 v ∈ V-S に対し, |N(v) ∩ S| ≧ d(v) をみたす最小個数の点集合 S ⊆ Vを求める問題を,ベクトル支配集合問題という (ただし,N(v)は v の隣接点集合を表す).この問題は,古典的な支配集合問題の拡張であり,施設配置等に応用がある.この問題が,分枝幅が定数の場合多項式時間で解けることを示した.また,入力グラフが平面グラフの場合,準指数固定パラメータ容易であることを示した. ・無向グラフG =(V, E) と非負整数 k が与えられたとき,最小本数の辺を加えて G の直径を k 以下にする問題は,直径要求をもつグラフ増大問題と呼ばれ,通信遅延を考慮したネットワーク設計問題の一つである.この問題に対し,G が外平面的グラフのとき多項式時間で定数倍近似可能であることをはじめて示した.また,G の仮定を部分 2-木と拡張した場合でも,k が偶数であれば定数倍近似可能であることを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2013年度は,前年度に行った関連研究の現状の調査・整理によって得られた知見を基に,効率よく解ける問題のグラフ構造の解析を行いながら,具体的に対象とする問題を解く効率的なアルゴリズムの開発を行った. その過程で,特に,施設配置等に応用のある,グラフの支配集合問題を一般化した問題に関し新しい知見を得た.
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Strategy for Future Research Activity |
おおむね「研究計画・方法」の通りに進んでいるため,基本的にはその方針にしたがう.引き続き,これまでの調査によって得られた知見を基に,効率よく解ける問題のグラフ構造の解析を行いながら,具体的に対象とする問題を解く効率的なアルゴリズムの開発を行う.考案したアルゴリズムの性能を理論的に解析するだけでなく,実用上の性能を評価するために, 計算機上でプログラム化して多くのテスト問題を組織的に解かせる計算実験を行う.計算機実験の結果を鑑み,アルゴリズムの改善・高速化を図る.また,効率よく解ける問題の離散構造の類似性を吟味することなどにより,離散最適化問題としてより一般化された問題の理論研究を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2014年3月31日--4月4日にモンテビデオ市(ウルグアイ)で開催された 11th Latin American Theoretical Informatics Symposium (LATIN 2014)にて研究発表を行うための旅費として,次年度に持ち越した. 既に11th Latin American Theoretical Informatics Symposium (LATIN 2014)に参加し,本研究課題に係わる研究発表を行った.
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