2014 Fiscal Year Research-status Report
ロバストなネットワーク設計のためのグラフ論的アプローチとその一般化に関する研究
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24700001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
石井 利昌 北海道大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (30324487)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 組合せ最適化 / アルゴリズム / ネットワーク設計 / グラフ理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,主にロバストなネットワーク制御・設計が求められる問題を対象に,グラフを用いた離散最適化問題としての定式化及び効率的なアルゴリズムの構築という立場から研究を進める.さらに手法の一般化を行うことで,ネットワーク問題にとどまらない一般の離散最適化問題への貢献を目指す.2014年度に得られた主な結果は以下の通りである.
・無向グラフG =(V, E)と要求関数 d: V --> Z_+ (Z_+は非負整数集合を表す) が与えられたとき,点集合 S ⊆ V によりみたされる点 v ∈ V の要求値は min{d(v), |N(v) ∩ S|} と定義される.与えられた整数 k に対して,みたされる要求値の和を最大にするサイズ k の点集合を求める問題は,ベクトル支配集合問題の最大化問題版とみなすことができる.この問題に対し,入力グラフが平面グラフであるとき,k をパラメータとする準指数固定パラメータ容易であることを示した.この結果は,apex-minor-free グラフと呼ばれるグラフクラスにも拡張できることも示した.
・辺の付加により与えられた連結度要求を満たすようにグラフを増大させる連結度増大問題の一般化の一つとして, グラフ, 二つの点集合族 W1, W2, および要求関数 r: W1×W2 --> R+ (R+は非負実数集合を表す)が与えられたとき, 最小本数の辺を加えることで, 集合X1∈W1とX2∈W2の各組に対し, X1とX2を分ける任意の混合カットのサイズをr(X1,X2)以上に増大させる問題を定義した. この問題に対し, 多項式時間でO(logα(W1, W2))倍近似の解を出力するアルゴリズムを構築した. ただし, α(W1, W2)はr(X1,X2)>0であるX1∈W1とX2∈W2の組の数を表す.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2014年度は,引き続き関連研究の現状の調査・整理によって得られた知見を基に,グラフ構造の解析を行いながら,具体的に対象とする問題を解く効率的なアルゴリズムの開発を行った.また,効率よく解ける問題の離散構造の類似性を吟味することなどにより,離散最適化問題としてより一般化された問題の理論研究も行った.
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Strategy for Future Research Activity |
おおむね「研究計画・方法」の通りに進んでいるため,基本的にはその方針にしたがう.引き続き,グラフ構造の解析を行いながら,対象とする問題を解く効率的なアルゴリズムの開発を行う.また,計算機実験等を行いながら,これまでに得られた結果の改善についても試みる.これらに並行して,離散最適化問題としてより一般化された問題の理論研究をさらに進める.
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Causes of Carryover |
購入を予定していた図書を年度内に入手することができなかったため,次年度に持ち越した.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度に該当図書を購入する予定である.
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